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「天ぷら」と「さつま揚げ」

皆さま、こんにちは。先日、お客様から岩手の大船渡漁港に揚ったサンマを頂きました。我が家はサンマは初物でした。今年は大きなサンマで、脂がのってとても美味しかったです。

ここ数年サンマが不漁で、獲れても身が小さく、値段も高くなっていましたが、今年は近年まれにみる豊漁です。

9月に入って、北海道では1日千トンもの水揚げがあり、発泡スチロールや氷が不足、輸送などの処理が追いつかないとのニュースを見ました。

9月上旬、サンマ漁のさかんな漁港では、処理が追いつかないことや、漁獲目標を大きく上回っていることから、全国さんま棒受網漁協協同組合は48時間休漁措置をとりました。

銚子港では2022年ゼロ、2024年55トン・・・と、この4年間で計84トンしか獲れなかった所、たった1日で112トンのさんまが獲れ、4年間の合計量を上回ったとのことです。同じようにここ数年不漁だったイワシも豊漁です。

どうしてそんなことになるのか、不思議ですね。

メディア各社の情報によると、今年のサンマは大きなサイズのようです。先日スーパーで、「特大」シールが貼ってあるサンマが一匹500円台でした。

いくら特大サイズといっても、豊漁なのに随分高いと思いました。以前は普通サイズが2匹入って500円ぐらいだったと思いますが。

豊漁は何よりですが、サンマやイワシは足が早いのが特長。
有名なサンマ祭りなどでは、刺身で食べることのできる程新鮮な魚を扱っているそうですが、新鮮さを保つにはスピードとそれなりの扱いが必要になります。

スーパーでサンマやイワシのお刺身は滅多に扱ってないように思います。安くて美味しい魚は大体足が早いですね。

それでサンマは焼き魚か干物に。イワシは目刺しか、酢漬けや油漬けの缶詰や練り物になるのかと思います。

練り物

ご存知のとおり「練り物」とは、魚のすり身に塩や具材を加えて練り、加熱して固めた加工品の総称で、かまぼこ、揚げかまぼこ、ちくわ、つみれ、さつま揚げなどのこと。子供から大人まで幅広い年齢層に親しまれている食べ物のひとつです。

水産加工品の総称「練り物」は、加工方法と地域によっていろんな呼び方があり、この点が煩わしいところです。

例えば、西日本では、エビや野菜等の素材に衣つけて油で揚げる「天ぷら」の他に、練り物のことを「天ぷら」と言います。主に揚げかまぼこのことです。

東日本では「さつま揚げ」と言い、愛知・岐阜・北陸では「さつま揚げ」のことを「はんぺん」と言うそうです。

西日本出身で関東に長年住んでいる友人は、上京したての頃、おでんの練り物「天ぷら」のことを周りに話すたびに、「天ぷら?」と不思議そうな顔をされ、スムーズにいかなかったそうです。

同じ単語で漢字が同じで意味が違うとなると、日本人同士でも話が通じないこともある、と言っていました。日本語は難しいですね。

練り物 呼び方いろいろ

西日本では「天ぷら」、北海道以外の東日本では「さつま揚げ」、と言われる練り物(主に揚げかまぼこ)ですが、他の呼び方もあります。

さつま揚げ

天ぷら(西日本・北海道)

飛竜頭(ひりょうず) 豆腐と魚のすり身をベースに野菜等を混ぜて揚げたもの

はんぺん(愛知・岐阜・北陸) さつま揚げのこと

あげはん(広島)

つけ揚げ(鹿児島)

チキアギ(沖縄)

天ぷらの種類

さて、〇〇天と名の付く天ぷらはいくつかあります。和歌山のスーパーには「さつま揚げ」という名前では売ってないです。「平天」か「ほね天」です。

東京の友人に話したところ、びっくりして、近所のスーパーで買ったという「さつま揚げ」の写真を送ってくれました。

平天 魚のすり身をベースに平らに近い形の天ぷら。大体3枚入りの袋で売っています。

丸天 平らで丸い形の天ぷら。博多のうどんには丸天がのっています。

長天 長細い形の天ぷら。讃岐うどんには長天が入っています。

ほね天 タチウオを丸ごと使った天ぷら。和歌山県有田市の特産品。

ごぼう天 棒状にしたごぼうを芯にして魚のすり身で巻いた天ぷらで「ごぼ天」とも言う。

ささ天  ささがきごぼうを使った天ぷら。

じゃこ天 いろんな種類の魚(雑魚)を丸ごと使った天ぷら。愛媛県八幡浜市や宇和島市の特産品。

薩摩では「さつま揚げ」とは言わない

さつま揚げの本場、鹿児島では「つけ揚げ」と言います。

江戸時代、中国から伝わったとされる琉球の揚げかまぼこ「チキアーギ」が薩摩に伝わって独自の料理になり、「チキアーギ」がなまって「つけ揚げ」になったと言われています。

沖縄では現在も「チキアーギ」・「チキアギ」と言うようです。

なぜ薩摩の「つけ揚げ」が、江戸では「さつま揚げ」と言うようになったのか。

調べたところ、江戸では「薩摩のつけ揚げ」として広まり、それが省略され「さつま揚げ」と言われるようになったとのことです。

「つけ揚げ」は、多めの砂糖と、灰地酒(あくもちざけ)という薩摩の甘い地酒を使い、甘口なのが特長。保存用に考えられたそうです。

飛竜頭(ひりょうず)=がんもどき 

さて、練り物と同じおでんの具にがんもどきがあります。飛竜頭(ひりょうず)とがんもどきは同じもの、とされています。「がんもどき」のことを西日本では「飛竜頭(ひりょうず)」、地域によって「ひろうす」「ひりゅうず」と言われているようです。

「がんもどき」は精進料理発祥のおかずとして知られています。基本、魚のすり身が入っておらず、豆腐と野菜等の具材を揚げたものです。

スーパーでは練り物コーナーではなく、豆腐コーナーに置いてあります。

がんもどきの材料である豆腐、こんにゃく、湯葉なども精進料理として重宝され、江戸時代の末頃には、こんにゃくを油で炒めたものを「がんもどき」と呼んだそうです。

元は豆腐ではなく、凍みこんにゃくで作られ、弾力があって雁の肉に似ているとの記述があるそうです。凍みこんにゃくとは、乾燥こんにゃくのこと。

いつ、凍みこんにゃくが豆腐に変わったかはわからないようです。がんもどきの材料のひとつだったようですから、保存できる凍みこんにゃくの方が手に入りやすかったのではないでしょうか。

「飛竜頭(ひりゅうず)」は「がんもどき」と同じ精進料理発祥でしたが、現在は、地域によって、主体の豆腐に魚のすり身、山芋、卵、野菜等の具を混ぜて丸めて揚げたものもあることから、練り物として扱われているようです。

和歌山のご当地練り物

さて、練り物は原料となる獲れる魚によって、日本各地に様々な種類があります。和歌山には、地元の新鮮な魚を使った特産品の練り物があります。

ほねく・ほね天 (和歌山県有田市)

和歌山県有田市の箕島漁港が面する紀伊水道は、大阪湾からの海水と黒潮がぶつかる好漁場で、太刀魚(タチウオ)が獲れます。

タチウオは白身の魚で、脂がのっています。刺身は鯛と同じぐらい美味しいですが、足が早い魚で、天ぷら・塩焼き・煮付け・ムニエルなどで頂くことが多いです。和洋中、どの料理にも合います。

小骨が多いタチウオですが、骨ごとすりつぶしたすり身で作った練り物が「ほねく」です。「ほね天」の名前でも親しまれています。

時々スーパーで見かけて買っては、トースターで焼いて、醬油をつけて食べます。

中身はこんな感じです。昔は薄くて丸が大きかったですが、最近はひとまわり小さくなり少し厚味がでたように思います。

なんば焼き (和歌山県田辺市)

なんば焼きは、エソやグチという白身の魚が原料の焼き抜きかまぼこです。江戸時代の頃より城下町田辺で作られています。

たな梅さん なんば焼き(小) 842円(税込み)

みかん船、和歌山の風景が描かれた箱に入っています。見た目ははんぺんのようですが、身はしっかりして弾力と粘りがあります。食感は板蒲鉾に近いですが、すり身は板につけず、鍋で焼いたものです。

そのまま食べても、醬油をつけても美味しいです。練り物にしては日持ちがします。

昔は紀南の方にしか売っていなかったため、白浜へ行った方からお土産に頂きました。最近は近所のスーパーでも見るようになりました。

牛蒡(ごぼう)巻き (和歌山県田辺市)

牛蒡(ごぼう)巻きは、エソやグチという白身の魚が原料の焼きかまぼこです。柔らかく茹でたごぼうに魚のすり身をつけて棒状にし、魚の皮を巻いて焼き、タレに漬け込んだものです。

1㎝ぐらいの幅に切って食べます。甘辛い味付けです。どちらかと言えばお酒のおつまみにあうような大人の味です。

たな梅さん ごぼう巻き 1058円(税込み)

なんば焼きは江戸時代、藩主が江戸への土産として、日持ちのする魚の加工品を、との要望で、作られたそうです。

殿様からのオーダーでは、さぞご苦労があったことと思います。

当時の努力の甲斐あって、現在、なんば焼きは日持ちのする練り物として知られています。

一度にたくさん魚が獲れても、保存が難しいのは今も昔も同じですね。

(参考)
・日本かまぼこ協会
https://www.nikkama.jp/info/%E3%80%8C%E6%8F%9A%E3%81%92%E3%81%8B%E3%81%BE%E3%81%BC%E3%81%93%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%91%BC%E3%81%B3%E5%90%8D%E3%81%A7%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A/#:~:text=%E6%97%A9%E9%80%9F%E3%80%81%E8%AA%BF%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8B%E3%81%A8,%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AE%E5%91%BC%E3%81%B3%E5%90%8D%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
・東京おでんだね https://odendane.com/oden-naming/
・たな梅 https://www.tanaume.jp/
・上野屋蒲鉾店 https://e-sutokama.com/kamaboko-type
・うちの郷土料理 じゃこ天
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/jakoten_ehime.html#:~:text=%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%83%BB%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%83%BB%E9%96%A2%E9%80%A3%E8%A1%8C%E4%BA%8B,%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
・うちの郷土料理 鹿児島 つけ揚げ 
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tsukeage_kagoshima.html
・うちの郷土料理 茨城 凍みこんにゃく
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shimikonnyaku_ibaraki.html
・和食スタイル 豆腐百珍 https://washoku-style.jp/archives/8393
・にっぽん伝統食図鑑
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/bunrui/nerimono.html・
・紀文 練り物図鑑 
https://www.kibun.co.jp/knowledge/neri/basics/zukan/tsumire/index.html
・毎日新聞 毎日ことば 
https://salon.mainichi-kotoba.jp/archives/184459#:~:text=%E3%80%8A%E3%80%8C%E5%B9%B3%E3%82%89%E3%80%8D%E3%82%82%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%AF%E3%80%8C%E5%B9%B3%E3%82%89,%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B6%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・日本豆腐協会 
http://www.tofu-as.com/tofu/history/06.html
・ニッポン放送
https://news.1242.com/article/153470