皆さま、こんにちは。今年は夏が長かったせいか、11月半ば過ぎても銀杏の葉っぱが色づかずまだ緑が残っていましたが、月末になってようやく色づきました。
関東など山沿いでは例年より早く初雪が降ったそうですが、ここ紀美野町は紅葉がきれいで、明日から12月というのに秋本番。日中14、15度の過ごしやすい日が続いています。

さて、先日地元紀美野町の柿の市へ行ってきました。毎年柿の収穫の時期になるとたくさんの地元の柿が集まっての即売会があり、大勢の人で賑わいます。
みかんで有名な和歌山ですが、実は柿の産地です。
令和6年の全国収穫量によると、みかんがトップで全国シェア25%。柿もトップで全国生産量16.7トンのうち、約20%が和歌山県です。
令和5年の柿は、害虫や高温により不作だったことから、令和6年の生産量は前年比10%減でした。今年は雨が少なかったため、例年のような大きなサイズの柿がなかったです。
ちなみにうめはトップで全国シェア58%(令和7年)。その他、キウイ第2位で全国シェア16%。桃は第5位で全国シェア5%でした。

ここ数年うめも不作です。6月頃、地元の産直市場に梅干し用の梅を買い物に行ったご近所さんの話では、今年の梅の値段は例年の3倍だったそうです。
全国シェア6割の和歌山の梅が不作となると、価格が高騰し、家庭から梅干し産業関係の方までいろいろとご苦労もあったことと思います。
さて、柿の話に戻ります。九度山の柿が有名ですが、紀美野町の柿もなかなか美味しいです。例年の柿は、東京近郊の友人に言わせると「東京近郊のスーパーに置いてある柿の1.5倍ぐらいの大きさ。果肉もシャキっとして甘くて美味しい。あんな立派な柿はなかなかない。」とのことです。

柿と日本
昔から、柿は食用に、柿渋は防腐剤や接着剤に、幹は家具材に、葉は茶として、暮らしの中で親しまれてきました。

紀美野町の富有柿
柿は中国や日本などの東アジアが原産と言われています。弥生時代前期の遺跡から柿の種の破片が発掘されており、奈良時代には、柿が商品として流通していたことが書かれた文献があるそうです。
柿と言えば渋柿でしたが、鎌倉時代突然変異により甘柿が生まれ、甘柿は日本原産の果物とされています。室町時代には、美濃・近江・大和が柿の産地だったそうです。
それが16世紀頃、ポルトガル人によってヨーロッパに渡り、後にアメリカ大陸へ広まったとされています。現在、ヨーロッパ・米国・中国・韓国などが主な生産地とされています。
ベトナムから来ている技能実習生によると、日本の柿はベトナムの柿より美味しいそうです。
ヨーロッパでの主な産地はスペイン。渋柿のように縦長のサイズの大きな甘い品種が多いそうです。ヨーロッパでも売り場では「KAKI」として売られているようです。
日本の柿は海外では「KAKI」として知られています。アメリカなど、英語圏では柿のことをパーシモンと言うようです。
当社の水産合羽『シーピープル』のカラーに「パーシモン」があります。オレンジ色(橙)でも、みかん色でもない、柿の色です。


DICカラー「日本の伝統色」を調べて見ると、蜜柑色・橙色・柿色、それぞれありました。
同じように見えますが、比べてみると微妙な違いがあります。塩ビに塗布すると光沢があり鮮やかに見えます。

現在、『シーピープル(パーシモン)』の販売実績は、『エミック(オリーブ・マリンブルー)』『シーピープル(マゼンタ)』と並んで第5位です。
第1位 『シーエース(コバルトブルー)』

第2位 『シーピープル(ライムイエロー)』

第3位 『エミック(白)』

第4位 『シーピープル(ピーコックブルー)』

第5位 『エミック(オリーブ・マリンブルー)』
第5位 『シーピープル(マゼンタ・パーシモン)』

寒い冬、寒色系を着て作業しているとよけいに寒いように見えますが、やはりブルー系が無難のようです。
柿の保存は難しい
さて、柿のシーズンになると、我が家では近所の産直市場で自宅用やお遣い物に買いますが、ご近所の方や知り合いの農家さんから頂いたりします。
昔から我が家では柿は冷蔵庫で保存せず、家の中の涼しい場所に置いています。皆さんもご存知のように柿は足が早く、毎日食べても追いつかず、どんどん熟していきます。
柿の保存は本当に難しいです。
私は固い柿が好みで、母は柔らかい柿が好みなので、ちょうどいいです。それでもどんどん熟していきますから、ヨーグルトに入れて食べています。柿の甘みが砂糖の代わりになってちょうどいいです。
料理好きのスタッフは、熟した柿の消費にケーキを作っています。

水分がわりになり、甘みがあり、砂糖の量を減らしてちょうどいいそうです。次は柿のパンを作ってみたいと話していました。
学校給食で、地元の柿を使ったパンなど、ありそうですね。調べたところ、ありました。県内の学校給食の献立に「柿パン」がありました。
そう言えば今年の春頃、丸ごと1個の柿が真空パックに入っているのを見ました。こんなものがあるんだと思い、値段をみたらかなり高かったのでやめました。
調べたところ、真空パックの柿は「冷蔵柿」と言い、柿をポリエチレン袋に入れて真空包装機で脱気しながらパックして0度の貯蔵庫に入れ、熟成させるそうです。内側から炭酸ガスを外へ出し、内部を真空に保つことで長期保存が可能になるそうです。
りんごはCA貯蔵という保存方法があり、そのおかげで私たちは一年を通してりんごを食べることができるわけですが、大量の柿を扱っている販売店さんはどのように柿を保存しているのでしょうか。
柿霜
シーズンになると、ご近所さんは、コンテナいっぱいの渋柿で干し柿を作り、毎年頂いています。干し柿は渋柿の渋抜き処理をして作られます。
干し柿の歴史は古く、平安時代の法典に、祭礼用の菓子として用いられたとの記述があるようです。また、千利休が茶席に干し柿を取り入れたとされています。

砂糖のない時代、砂糖が高価な時代、江戸時代にさつまいもが普及するまで、柿は庶民にとって甘みのある身近な食べ物だったと思います。
甘いお菓子の少なかった昭和の頃も、干し柿はおやつでした。
調べたところ、干し柿の表面についている白い粉は、柿の糖分が表面で結晶化したもので、「柿霜(しそう)」と言います。
「柿霜(しそう)」は砂糖の何倍も甘いと言われ、中国では砂糖がわりとして貴重品だったようです。
柿の栽培では「霜」が敵で霜対策が必要とされています。それなのに、「柿霜(しそう)」と、干し柿に霜がついているように見える名前がどうしてつけられたのか。不思議ですね。
甘柿は渋柿だった
さて、皆さんは甘柿には渋柿と同じように、もとは渋が入っていることをご存知でしょうか。私は、もともと甘柿と渋柿にわかれているわけだから、甘柿に渋が入っているとは思わなかったです。
調べたところ、渋みのもとはポリフェノールの一種「水溶性タンニン」。「水溶性タンニン」は、甘柿・渋柿どちらにも含まれていることがわかりました。
甘柿は熟すと「水溶性タンニン」が「不溶性タンニン」に変化するため、渋が抜ける品種。自然に渋みが抜ける「完全甘柿」と、種が入ると渋みが抜ける「不完全甘柿」があります。
渋柿は熟しても、渋みのもとである「水溶性タンニン」は変化せず残る品種。種が入っても渋みが残る「完全渋柿」と、種の周りだけ渋みが抜ける「不完全渋柿」があります。
どちらもアルコールや炭酸ガスや温泉で渋抜き処理をして「不溶性タンニン」に変化させ、渋みを抜きます。また、干し柿にしても渋が抜けます。

主な甘柿と渋柿
完全甘柿
種子の有無にかかわらず渋みが抜ける品種。甘みが強いのが特長
「富有」 国内で1番生産量が多い柿。江戸時代から栽培。
「太秋」
「次郎」
「伊豆」
「輝太郎」
「ねおスイート」
「紀州てまり」
などがあります。

紀美野町の富有柿
不完全甘柿
種子ができると渋みが抜ける品種
「禅寺丸(ぜんじまる)」
「西村早生」
「筆柿(ふでがき)」

筆柿
完全渋柿
種子ができても渋がある品種
「愛宕(あたご)」
「市田柿(いちだがき)」
「西条(さいじょう)」

市田柿の干し柿
不完全渋柿
種子ができるとその周辺にゴマが生じて部分的に渋が抜ける品種。渋抜きが必要。
「平種無(ひらたねなし)」 ブランド:佐渡「おけさ柿」、山形「庄内柿」
「刀根早生(とねわせ)」
「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」
「太天(たいてん)」
「突核無(とつたねなし)」/「ベビーパーシモン」
「みしらず柿」
「富士柿」

富士柿
昨年、愛媛へ出張し、お客様へのお土産に和歌山の柿を持っていきました。帰りに寄った八幡浜の道の駅に見たこともないような大きなサイズの柿がありました。
地元にこんな立派な柿があるとは知らず・・・。
愛媛は和歌山と同じみかんの産地ですし、今度からみかんも柿もお土産にできないなと、思ったのを覚えています。
帰って調べたところ、それが日本一大きな柿として有名な「富士柿」でした。
和歌山のブランド柿
さて、和歌山のブランド柿をご紹介します。渋柿は10月から出回り、11月からは富有柿が出回ります。
「紀の川柿」(渋柿)
たねなし柿を樹上で脱渋、成熟させた柿。黒い斑点が特長。「黒あま」として販売。

「甘熟」・「希(のぞみ)」・「夢」(甘柿)
ひとつひとつに袋がけし、樹上で完熟するまで栽培。糖度18度未満を甘熟。糖度18度以上のものを「希(のぞみ)」。糖度18度以上で外観が良好なものを「夢」とランク付。
「紀州てまり」(甘柿)
和歌山県が育成した早生甘柿の新品種。大玉で美しい外観と甘くてジューシーな食感が特長。
柿渋
さて、続いて渋柿から採れる柿渋の話です。
テレビの時代劇で、黒塀に柿渋を塗っている職人さんを見たことがあります。柿渋は天然の塗料・染料です。

塀に塗ることで防水効果や防虫効果があり、木材の腐食を防いでいました。また、紙や繊維製品の防水や接着剤として、漁網、雨合羽や和傘に塗っていました。
柿渋染めと言えば、初代市川団十郎の舞台衣装は、弁柄と柿渋で染められた赤茶色で、「柿渋色」・「柿色」と言われ、江戸時代に流行しました。
また、当時の倹約令によって着物の色柄が制限され、一見無地に見えるほど小さな柄の「江戸小紋」が生まれましたが、江戸小紋の型紙「伊勢型紙」は、柿渋で貼り合わせて補強した美濃和紙で作られました。
柿渋は、半夏生の頃(7月頃)の青い柿の実を採って使います。青い柿の実を細かく潰して搾ると乳白色の柿渋が採れ、それを発酵させると柿渋ができます。使う時はそれを水で薄めて使ったそうです。
柿渋の渋み(タンニン)が、空気中で酸化して、凝固する性質を利用したものです。いわゆるコーティングですね。現在の木工用ボンド、みたいなものだと思います。
天然の塗料・染料として、現代でも見直されていますが、独特の臭いがあります。
さて、今回は柿の話でした。いろんな甘柿・渋柿があることを知りました。
私は甘柿派ですが、甘柿より渋を抜いた柿の方が甘くて好みという人もいるようです。いろいろですね。
昔から日本では柿の木がありました。
柿の樹は、食料として、衣服として、人が暮らしていく家を支える柱・塀・家具として、生活道具を支えるものとして、甘い柿から渋い柿まで昔から私たちの暮らしを支えてくれていることがわかりました。
それにしても、先人は渋柿の渋を抜いたら食べることができるとどうしてわかったのか。
渋柿の柿渋に防水効果や接着効果があるとどうしてわかったのか。
柿の木と先人の知恵と工夫に心から感謝します。
(参考)
・和歌山の柿 和歌山県
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/071700/kokunai/brandshien/R2/d00205477.html
・紀の川柿 プレミア和歌山 https://premier-wakayama.jp/items/942/
・九度山産樹上完熟富有柿「希」三越伊勢丹
https://mifurusato.jp/item/ITM30343700075.html
・干し柿の保存 柿の専門公式ブログ
https://a-kaki.com/blog/?p=377
https://a-kaki.com/blog/?p=355&srsltid=AfmBOooMRrX2_eEbcGG1XCxEXwEgDmnJg0d41z0qOUagg3Sf3xEPb07L
https://a-kaki.com/blog/?p=355&srsltid=AfmBOoo5PaTDB-ZRWAdCOHwGjUKR6QKxzR-LWi4Iez3_3rkzS220pjYk
・干し柿 柿霜(しそう) 日本粉工業技術協会
https://appie.or.jp/column/%E5%B9%B2%E3%81%97%E6%9F%BF%E3%81%A8%E6%9F%BF%E9%9C%9C%EF%BC%88%E3%81%97%E3%81%9D%E3%81%86%EF%BC%89/
・マイナビ農業 https://agri.mynavi.jp/2024_07_26_272364/
・農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1810/pdf/1810_05.pdf
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/sakkyou_kajyu/mikan/r6/index.html
・イオン
https://aeonshop.com/pages/column_kaki?srsltid=AfmBOooC6od42BpF7sYqMVCsAQNa0gjGzXuOpaNK2VnWeM0GLV-P2Kon
・柿、不思議の果実 NIKKEI STYLE アーカイブ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22995720R01C17A1000000/
・日本農研機構
https://www.naro.go.jp/introduction/iro/reports/137834.html#:~:text=2018%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%82%AD%E3%81%AE,%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E7%94%A3%E3%81%8C%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82


