寒い毎日、皆さんいかがお過ごしでしょうか。このところの寒波で北日本や日本海側を中心に大雪に見舞われ、場所によっては平年の2倍以上のだそうで、2m以上の積雪があった所もあったようですね。雪かきに追われる方々のご苦労ははかりしれません。お疲れの方も多いことでしょう。皆さんどうぞお気をつけて作業なさって下さいね。
南国と言われる和歌山ですが、高野山にはよく雪が降り積もりますし、ここ紀美野町はこのところ強風に雪の舞う厳しい寒さが続いています。
それでも近所に水仙の花がたくさん咲いているのを見かけると、よい香りに癒やされ、春の訪れが遠くないことを感じ心が温かくなります。
厳寒期の空っ風“寒風”が美味しい干物をつくる「寒風干し」
さて、外で強風にブルブル凍えている時、友人から電話で厳寒期の空っ風にお魚を干して作る干物「寒風干し」のことを聞かれました。寒風干しというと北の方ではタラやサンマが有名ですね。厳寒期に海から来る空っ風にお魚を手作業で一つ一つ干して作る干物づくりは本当に大変なお仕事だと思います。
私は食べたことがないのですが、確か炙ってお茶漬けにして頂くと美味しいとテレビで見たことがあります。友人もサンマの寒風干しを紹介しているテレビ番組を見て食べてみたくなり、ネットでリサーチ中とのこと。きっと毎年この時期を心待ちにしている根強いファンがいることでしょう。
友人の話を聞いて私もサンマの寒風干しを食べたくなってしまいました。
干物は縄文時代から食べられていた!
さて、聞いたところによると干物は縄文時代から食べられていたそうです。縄文時代の貝塚から魚や貝を干した形跡があるとか。海に囲まれた日本では、大昔からお魚を干して保存性を高めていたのですね。どんな形跡が残っているのか、一度見てみたいです。
所変われば干物も変わる?!
ところでこの干物。お住まいの地域によって身近なお魚が異なるため、普段から頂く干物もやや異なるようです。
西日本出身で東京に住む友人によると、北海道や東北出身者のお宅の普段の朝食にはホッケやニシンが登場すると言っていました。秋田出身者のお宅ではハタハタの干物を食べたりするとか。和歌山ではホッケもニシンもハタハタも普段目にしないお魚です。
ハタハタと言えば、以前ハタハタを扱うお取引先があり知ったのですが、ハタハタは魚へんに神(かみ)と書くんですよね→鰰(ハタハタ)。
名前の由来を調べたところ、雷の古語を「ハタタ神(かみ)」といい、漢字の「鰰」の由来となっているそうです。
和歌山ではやはりアジの開き、カマスの開き、イワシのみりん干し、サンマの開き、メザシ等が一般的でしょうか。少し豪勢になると、鯛の開き、灰干しサンマ、等でしょうか。
ちなみに、日本のサンマ漁の発祥の地は、江戸時代の紀州熊野と言われていますが、ここ和歌山には雑賀崎(さいかざき)灰干しサンマという特産干物があります。
一般的なお魚の開きはお魚を乾燥させて作りますが、灰干しサンマはお魚を灰と一緒に水分を通すフィルムに包み、灰にお魚の水分を吸収させて乾燥させる方法です。臭みがなくしっとりとして旨味が凝縮されていてとても美味しいです。皆さんもぜひ一度食べてみて下さいね。
私たち日本人は普段から寒風を利用して出来たものを食べている!
さて、干物の他にも、この厳寒期の風を利用した私たち日本人にとても身近な食べ物がありますよね。そうです、庶民の味方!切り干し大根です。
というのも、先日高知市内で切り干し大根づくりの最盛期を迎えているとのニュースを見ました。冬の日差しと寒風がおいしい切り干し大根を作るそうです。
竹すという置き場に白い切り干し大根を干していき、3日で重さが10分の1に、そしてパリパリのレースのようになった切り干し大根を収穫するそうです。
甘さが凝縮して美味しさが増すのでしょうね。切り干し大根の煮たのが食べたくなってしまいました。
サンマの寒風干しは手に入りませんが、今晩はコタツに入って炊きたてご飯に“寒風の恵み”である美味しい干物と切り干し大根の煮物でも頂きましょうか。
寒風に、海に、大地に、降り注ぐ太陽に、山海の恵みに、育てる人たちに、漁をしてくれる人たちに、作ってくれる人たち、に感謝!です。
寒い日が続きますが、皆さん、お気をつけてお過ごし下さい。
※切り干し大根画像:無料写真素材「花ざかりの森」https://forest17.com/
※参考:雑学ネタ帳/魚へん漢字の由来 https://zatsuneta.com/archives/002085.html