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そばの繋ぎ

皆さま、こんにちは。早いもので今年も残すところあとわずかとなりました。
日本にはいろんな年越しそばがあります。そばひとつとってみても十割そばに二八そば、そば殻入りの黒ぽい田舎そばに白っぽい更科そば、と様々です。

そばも様々

先日、十割そばを頂いて食べました。十割というとどんなにボソボソかと思いきや、香りも食感もよく、とても美味しかったです。

繋ぎを使わない粘り気のない十割そばの製造には、高度な技術がいるそうです。

そばの実を石臼で丁寧に挽き、水を加えて延していくそうです。この工程を何度も繰り返すことによってボソボソしない、切れない、十割そばができるそうです。

もちろん今は機械打ちですが、目指すところは手打ちそばの食感だと思います。

さて、二八そばは蕎麦粉8割に小麦粉2割を加えて混ぜられた内二(うちに)のそば。

繋ぎには小麦粉や自然薯が使われることが多いですが、豪雪地帯として知られる新潟の魚沼地方の十日町や小千谷では布海苔(ふのり)が使われ、「へぎそば」として知られています。

剥ぎ板で作った四角い器をへぎといい、へぎにそばを盛り付けて食べられていたのが名前の由来です。

小千谷や十日町は江戸時代から続く織物の一大産地。織物に使う糸ののり付けや洗い張りに使われたのが布海苔だったそうです。

布海苔は北前船で北海道や東北から新潟湊へ持ち込まれ、信濃川の登り船で内陸の十日町や小千谷に運ばれてきたとされています。

かつては山ごぼうの葉や自然薯を繋ぎに使っていたのが、身近にあった布海苔を使うようになり、独自の「へぎそば」が誕生したそうです。

スタッフが新潟から繋ぎに布海苔を使ったそばを取寄せ、茹でてへぎの代わりにざるに盛り付けてみました。

へぎそばのように一口ずつ綺麗に盛り付けようとしたところ、かなり難しかったようです。弾力があり、つるっと喉ごしのよいそばだったそうです。

お取り寄せ 吉雪そば(新潟県小千谷市)

なお、薬味は魚沼地方ではわさびが採れなかったため、代わりにからしが使われたそうです。地元の店ではわさび・からし、どちらも提供しているようです。

わさびは新潟のような水の綺麗なところに自生すると思っていましたが、豪雪地帯は難しいのでしょうか。

なぜそばの繋ぎにしようと思ったのか

ところで、長野県飯山市にある「富倉そば」は、そば粉十割で、繋ぎにオヤマボクチというキク科の多年草植物の繊維を使うことで知られています。

調べたところオヤマボクチは山ごぼうのことでした。新潟の魚沼地方でも、布海苔を使う前までは山ごぼうの葉を使っていました。長野と新潟は隣。

山ごぼうの葉の繊維を繋ぎに使うのには大変な手間と時間がかかるそうです。

葉の繊維を柔らかくなるまで煮て、天日干しで乾燥させることを何度も繰り返し、1kgの葉から取れる繊維はわずか4~5gほどだそうです。

なぜそんなに手間のかかる山ごぼうの繊維をそばの繋ぎにしようと思ったのでしょうか。

オヤマボクチの写真をネット検索して見たところ、葉の裏に白い綿毛がびっしり生えており、その綿毛をそばの繋ぎにしようと思ったのかもしれません。

なぜ布海苔をそばに入れてみようと思ったのでしょうか。身近にあったからいっちょ入れてみるか、となったのかもしれません。

考えて見ると、世の中に誕生している様々なものは、全て身近にあったから使ってみた、のパターンが多いのかもしれませんね。

製品価格見直しについて

さて、先日郵便料金が上がりました。84円切手に慣れてきたと思ったら、また変わるとは残念です。

調べたところ、手紙もはがきも1994年から二十年、一度も値上げしてなかったことがわかりました。

手紙料金は2014年に2円上がり、2019年にまた2円上がり、そして今回2024年に26円上がりました。なぜ2円にしなかったのかと思いましたが。

さて、当社も製品供給の安定化を維持するために、製品価格の見直しを決断しました。

水産合羽は主材料の生地を含め、30以上ものパーツから成り立っています。

パーツは主材料の生地のように弊社がメーカーにオーダーした特注品を含め、それぞれメーカーから取り寄せています。

これらのパーツを工程順に職人が一つ一つ丁寧に手作業で溶着・縫製し、ウェアを製造しています。

主材料生地
副材料ミシン糸、ウエストゴム、袖口ゴム、脇ゴム、タフタ、水止めテープ、接着テープ、ファスナー、面ファスナー、肩つりバンド、ワンタッチバックル、3本線バックル、背カン、アイレット、ハトメ(フードひも通し)、カシメ、プラホック、フードひも、サイズネーム、製品名マーク、転写マーク、ワッペン、長靴
付属品黒平ゴム、赤平ゴム、補修布
補助材料包装袋、化粧箱、製品チラシ


2022年に価格改定をお願いし、弊社も合理化への努力に取り組んでまいりましたが、
主材料である生地代の値上げに苦慮し、自助努力のみでは如何ともし難くなりました。

つきましては、誠に不本意ではございますが、来年より価格改定をお願い申しあげたく存じます。

何卒諸事情ご賢察の上、ご理解とご了承賜りますようお願い申し上げます。

現在、価格高騰の影響を直接受けないように生地を入手する環境を模索中です。

丈夫で軽くて長持ちする久保の合羽がいい!とご指名頂けるよう、これからも努力いたします。

今年も一年お世話になり、ありがとうございました。どうぞよい年をお迎え下さい。

(参考資料)
・十割そば https://delishkitchen.tv/articles/2487

・織物由来の海藻をつなぎに のどごしよい「へぎそば」(ミツカン)
https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no76/09.html

・オヤマボクチ(日穀製粉株式会社)
https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/glossary/post-59.php

・小千谷名物へぎそば -小千谷の魅力を発信-
https://youtu.be/p8sJrFYqqYw?si=4LqZ9lWETnD2_dgy

・富倉そば(温泉ぱらだいす信州)
https://nagano.onpara.jp/info/1206000145.aspx