皆さま、こんにちは。今年は平年より2週間以上も遅い梅雨入りでした。近畿地方は東海・関東と同じ6月21日の梅雨入り。暦の上では、昼の長さが最も長くなる「夏至」の日でした。過去3番目に遅い梅雨入りだそうです。
梅雨入りは「入梅(にゅうばい)」とも言います。「入梅(にゅうばい)」は暦上の表現で、6月11日頃をあらわします。「梅雨入り」は気象上の表現だそうです。
確かに「気象庁は“入梅(にゅうばい)”を発表しました」とは言いませんね。
入梅(にゅうばい)いわし
入梅(にゅうばい)と言えば「入梅いわし」が有名です。「入梅いわし」は、6月~7月の梅雨入りの時期にとれるマイワシのこと。この時期のイワシは産卵前で、1年で最も脂が乗って美味しいと言われています。お刺身が一番美味しいそうです。
日本でとれるいわしは、ニシン科のマイワシとウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシの3種類。普通「いわし」と言えばマイワシのことを言うようです。
ウルメイワシは丸干しや干物に、カタクチイワシはメザシや煮干し・アンチョビやオイルサーディンに利用されています。
少し前、出先のスーパーで、びっくりする程大きな丸々と太った大きないわしを見かけました。たぶんあれが入梅いわしだったのではないかと思います。
その後、大きないわしを探して地元のスーパーを何件か見てまわったのですが、入梅いわしどころか、イワシがいませんでした。東京近郊にいるスタッフに話したところ、和歌山と同じで、この時期にあるはずのイワシがお店にないとのこと。
関東の茨城県鹿島灘から千葉県銚子沖は、南からの黒潮と北からの親潮がぶつかり、利根川からの淡水も加わって年間を通じてプランクトンが豊富に発生する好漁場。このエリアだけで、マイワシ漁獲量全国シェアの約半数を占める、日本有数のいわしの産地として知られています。
銚子の観光協会に問合せし、ネット通販で銚子の入梅いわしを買えないか尋ねたところ、このところ入梅いわしの水揚げがない、飲食店もこの時期入梅イワシ目当てで来るお客さんに出せず、小さいイワシを使ったメニューに変更している、と言っていました。
調べたところ、2024年6月21日付で「千葉・銚子市の「入梅イワシ」ピンチ 水揚げは2021年の1割以下の1600トン 関東甲信の史上2番目に遅い梅雨入りが影響か」、との記事がでていました(FNNプライムオンライン)。
記事によると、入梅いわし不漁の原因は、
・梅雨入りの大幅な遅れによって水温が上がって、冷たい水温を好むマイワシが入ってこれない。
・梅雨入りが遅れたため(雨が降らず)、陸地の栄養が川などを通じて海に流れ込みプランクトンが少なくなっている。
それで入梅いわしは不漁、小ぶりないわししか獲れない状況のようです。
庶民の味方 いわし
小ぶりないわしも大きないわしも、いわしは庶民の味方。日本で一番獲れるお魚です。
令和4年の海面漁業魚種別漁獲量は295万992t。そのうち22%がマイワシです。漁獲量の多い上位5種は以下のとおり。
第1位 まいわし 64万1,797t
第2位 ほたてがい 34万40t
第3位 さば類 31万9,744t
第4位 かつお 19万659t
第5位 すけとうだら 16万428t
さばは「さば類」とまとめられていましたが、いわしは種類別にカウントされていました。マイワシだけで22%。カタクチイワシは12万3241t。ウルメイワシは6万4257t。あわせると、全体の28.1%が「いわし」です。
クセのないいわしは、塩焼き、梅煮、生姜煮、蒲焼、フライ、天ぷら、つみれ、刺身等、どんなお料理にしても美味しいですね。皆さんは、どれがお好きですか?ちなみに、私は梅煮が好きです。
入梅いわしを探していたところ、スタッフが「真いわし酢〆」という商品をゲットしてきました。銚子港水揚げの脂乗りのよいイワシを使っていると書いてあり、たぶん入梅いわしだと思います。
酢じめにすると、身が締まって少し縮むと思いますが、それでもかなり大きかったようです。1枚でお寿司2個分とれたようです。本当に大きいですね。見た目はお刺身のようですが、お酢がしっかり効いていたそうです。
お刺身だけは新鮮なイワシがないと食べられません。脂ののった入梅いわしのお刺身、ぜひ食べてみたいです。
いわしの缶詰
マルハニチロさんが2020年に行なった調査によると、いわしは「缶詰で食べたい魚」の第3位(13.9%)でした。ちなみに1位はサバ(39.6%)、2位はサンマ(21%)でした。
※マルハニチロ インターネット調査「魚食に関する調査2020年」全国の20~59歳の男女有効回答サンプル数1000名
その頃はサバブームでしたね。不漁が続いて価格が高騰したサンマに代わって缶詰生産されるようになった頃かと思います。昨年あたりからサバが不漁で、サバ缶の原料が不足し、価格が高騰しているとの記事も目にしました。
ピンチのサバに代わって、いわしが期待されているようです。
スーパーに行ってみたところ、蒲焼・水煮・味噌煮・醤油味・レモンスープ味・トマト煮・油漬・オイルサーディンなどがありました。
味漬けもしっかりして、日常のおかずや保存食として、そのまま食べることができるのが缶詰のいいところですが、水煮もよく使われているようです。
サバ缶ブームの影響もあるのか、ネット上にはいわしの水煮缶のレシピがたくさんありました。パスタ、炊き込みご飯、カレー、ポテトサラダ、ハンバーグ、具だくさんスープ、つみれ汁など。
いろんなレシピを見たところ、ツナ缶と同じような使い方をしながら、ツナよりボリュームのあるおかずになっているようです。
料理好きのスタッフが、いわしの水煮缶を使ってスパゲッティを作ったところ、なかなか美味しかったそうです。
一口に水煮缶と言っても、塩味等のついているものとついてないものがあり、味見してから料理した方がいいと言っていました。
魚の缶詰と言えば、私は「さんまの蒲焼」が定番でしたが、今は本当にいろんな味付けがありますね。炊飯器にいわしの水煮缶と具材を入れて簡単にできる、炊き込みご飯でも作ってみたいと思います。
梅雨の言葉
さて、梅雨入り・入梅いわし以外に、梅雨時に使う言葉を探してみました。昔からそのようなシチュエーションがあったから、言葉が生まれたということですね。
梅雨籠り(つゆごもり) 梅雨の時期、雨のために外出できず、家の中に籠ること。
梅雨寒(つゆざむ) 梅雨どきに気温が低くなり、肌寒さを覚えること。
梅雨曇り(つゆぐもり) 晩春から夏にかけて現れる暗い曇り空のこと。
梅雨流し(つゆながし) 梅雨が長引き、明けないこと。
雨間(あまま・あめま・あまあい) 続く雨の晴れ間のこと。
梅雨の雨
「○○梅雨」という雨の呼び名がいくつあるか調べて見ました。複数の情報を参考に、私なりにまとめました。知っているのは菜種梅雨ぐらいでした。
菜種梅雨(なたねづゆ) 菜の花が咲く時期に降り続く雨の呼び名。
青梅雨(あおつゆ) 木々の青葉をより鮮やかに、色を濃くして降る雨。
迎え梅雨(むかえづゆ) 梅雨を迎えるように降る雨。走り梅雨と同意語。
走り梅雨(はしりつゆ) 梅雨入り前に現れる梅雨に似た雨。
暴れ梅雨(あばれづゆ) 昼夜を問わず、雷を伴って降り続く集中豪雨。梅雨の後期に多い。
荒梅雨(あらつゆ・あれつゆ) 梅雨の後期にみられる災害をもたらすほどの大雨。
送り梅雨(おくりづゆ) 梅雨明けの頃に雷を伴って降る強い雨。これが上がると梅雨も終わり、夏がやってくるといわれている。
返り梅雨(かえりづゆ) 梅雨が明けてから、また2、3日降り続く雨。
戻り梅雨(もどりづゆ) 梅雨明けした後に、しばらくして再び梅雨前線の南下により 梅雨模様になる事。
空梅雨(からつゆ) 雨が少ない梅雨。
旱梅雨(ひでりつゆ) 雨が少ない梅雨。空梅雨と同意語。
男梅雨(おとこづゆ) 激しく降って、サッとやむことを繰り返す雨。
女梅雨(おんなづゆ) シトシト長く降り続く型の梅雨。
参考
・tenki.jp (日本気象協会) https://tenki.jp/
・NHK文化放送研究所
・hibiyakadan.com
・J-stage 海面漁業生産統計調査 令和4年漁業・養殖業生産統計2022年 大海区都道府県振興局別統計 魚種別漁獲量
・Yahooニュース(FNNプライムオンライン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a58223ee12fa0e1118a44af7427b311c4bf3e941?page=1
・銚子観光協会 https://www.choshikanko.com/
・Discover Japan 《美味しい魚図鑑》 Vol.9 イワシ https://discoverjapan-web.com/article/82814
・『雨を、読む。』著/佐々木まなび 芸術新聞社
・exciteニュース
https://www.excite.co.jp/news/article/Japaaan_58717/
・レインスタイル
https://www.rainwear.jp/user_data/raindrops.php