ページトップへ

雨衣ひとすじ久保製作所

ブログ

夏バテにはやっぱりうなぎ。土用の丑の日「うなぎに感謝の日」

皆さま、こんにちは。
全国的に猛暑日が続いていますね。こんな時は皆さん奮発してうなぎを頂きたいところでしょうか。コロナの影響による生活スタイルの変化で、お家で家族と食卓を囲む機会が増えてきたこともあってうなぎの人気が高まっているようです。週末家族での外食が、お家でのたまのいわゆるプチ贅沢=うなぎに変わったのかもしれませんね。

日本全国猛暑日増でみんなバテ気味に?!

以前に比べると暑くてたまらないと感じることが多くなりましたが、皆さんはいかがでしょうか。蒸し暑さが増し、不快指数が増してバテぎみになっている?!というのもあるような気がします。確かに昭和の頃から暑い日はありましたが暑くても33度くらいでしたでしょうか。最近のように35度を超える猛暑日があたりまえになり、所によっては40度近くまで上がったり、北海道でも35度を超えるようになってきました。バテぎみになるのも当然ですし、疲労回復にうなぎが好まれるのも当然ですね。

日本全国気温もうなぎの価格も上昇中?!

このところうなぎは年々お値段が上がっているように思います。数年前までは1パック千円程度のものが2千円近くに。少し大きめになると3千円程度でしょうか。生産地も鹿児島産か中国産を見かけることが多く、台湾産や愛知産はスーパーではほとんど見かけなくなりました。

貰って嬉しいうなぎ、人気も上昇中?!

庶民には敷居の高いうなぎですから、お中元やお歳暮に贈られると嬉しいですよね。うなぎが一番喜ばれる!と毎年お遣いものにはうなぎにしている人も結構増えているようです。調べて見ると主要百貨店のお中元人気ランキングの上位にうなぎ関連商品が入っていました。

高島屋さんではお中元人気ランキング総合で第4位。お惣菜カテゴリーでは第1位うなぎのかば焼き、第3位うなぎおこわ、第5位うなぎおこわ、とうなぎが占めていました。三越さんでは人気の海産物・水産加工品カテゴリーの1位~3位までうなぎのかば焼きが占め、伊勢丹さんでは1位と3位の上位にうなぎの蒲焼が入っていました。※いずれも2022年7月中旬時点。

『土用の丑の日』2022年は7月23日(一の丑)と8月4日

「春の虹蜺(げいご)」歌川国芳(個人蔵)

調べて見ると今年の土用の丑の日は7月23日(一の丑)と8月4日。土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が広まっていったきっかけは諸説あるようですが、有力な説は江戸時代、売上不振の続くうなぎ屋さんを助けるために多才な偉人平賀源内さんが土用の丑の日に宣伝したことがはじまりと言われています。

江戸時代、丑の日には「う」の付く食べ物を食べるといいという風習に目をつけた平賀源内さんが、売上不振の続くうなぎ屋さんを助けるため、土用の丑の日に「本日、土用の丑の日」とうなぎ屋さんに張り紙をして宣伝し大盛況だったことがはじまりと言われているそうです。平賀源内さんの宣伝(販売促進)から始まったとは知っていましたが、もともとあった風習をうまく活用して江戸の庶民に新しいちょっとした楽しみの機会を提供したことが、今に続いているのですね。

日本人は大昔からうなぎを食べていた?!

日本人が鰻を食べ始めたのは新石器時代の古墳などから出土する多くの水産生物の骨の中に鰻の骨もあったことから、縄文時代からではないかと言われているそうです。記録としては「万葉集」(4~8世紀)の中に、歌人大伴家持さんが夏バテで痩せてしまった友人石麻呂さんにうなぎを勧めた歌が残っていました。また醍醐天皇(885~930年)が選んで集めた薬物の本の中に水産生物としてムナギ(ウナギ)があげられていたそうです。日本人は大昔から夏バテによい滋養食材としてうなぎを食べてきたのですね。

「石麻呂に吾れもの申す夏痩せに吉しという物ぞ武奈伎(ムナギ=うなぎ)とり食せ(めせ)」
(訳:石麻呂よ、夏痩せによいという、うなぎをとって食べなさい)大伴家持

「う」のつく食べ物

ちなみに「う」のつく食べ物としてはうなぎの他に、うどん、瓜(きゅうり、ニガウリ(ゴーヤ)、スイカ、かぼちゃ、ズッキーニ等)、梅干し、土用しじみ、土用たまご等だそうです。身近なメニューとしてはやっぱり梅干しときゅうりを添えて頂く冷やしうどん等がよさそうですね。

「うなぎ」と「梅干し」は禁断の食べ合わせ?

ここで気になるのが「う」のつく食べ物に「うなぎ」と「梅干し」があることです。ご存知のとおり食べ合わせの悪いの組み合わせとして知られていますね。
何とこの「うなぎ」と「梅干し」の食べ合わせが悪いというのは科学的根拠がないという説もあるようです。家にあった栄養学本には食材うなぎの説明として次のように書かれていました。

うなぎときゅうりの酢の物はビタミンCや食物繊維を補えるメニューです

引用:あたらしい栄養学(高橋書店)

きゅうりの酢の物とは合うとのこと!梅干しも酸っぱいクエン酸ですよね。ちなみに和歌山名産である南高梅と鰻を使って禁断の食い合わせに挑戦した加工品も発売されていました。
紀州南高梅ひつまぶし

食べ合わせの悪い組み合わせの代表のようなうなぎと梅。この考えをひっくり返すのはなかなか難しい?でしょうか。なお、本ブログをご覧になった皆さんが食べ合わせに挑戦なさる場合はあくまで自己責任にてお願いいたしますね。

うなぎの現状とこれから

うなぎの人気が高まる一方で、近年養殖するためのうなぎの稚魚であるシラスウナギの漁獲量は減っているとのことです。原因は海や川の環境の変化、過剰な漁獲、生育環境の悪化等が指摘されているそうです。資源保護の観点から水産庁では養殖池に入れる稚魚の制限量1年の上限が21.7tに制限しているそうです。

今年に入ってから物の値上りで、ガソリン代等燃料をはじめうなぎを捕る人も売る人も厳しい状況に追い込まれていることは想像できます。うなぎの値上りもやむを得ない状況なのかもしれません。稚魚の漁師さんをはじめ、養殖業者さん、加工販売業者さん等、小さな稚魚が大きなうなぎのかば焼きになるまでの行程や営業の努力をして下さっているおかげで、私たちは美味しいうなぎを頂くことができることには感謝したいと思います。

次世代のうなぎに期待『人工シラスウナギ』

とはいえこのまま価格が上がり続けると、私たち庶民にとって益々敷居が高くなりそうそう食べられないものになっては悲しいです。江戸時代から続く土用の丑の日風習も、日本の食文化の今後が心配になってきます。

そんな中、希望のあるニュースもあります。シラスウナギの安定供給を目指して「人工シラスウナギ」の生産が取り組まれ、成功しているそうです。稚魚になる前のニホンウナギを仔魚(しぎょ)と呼ぶそうですが、仔魚(しぎょ)はこれまで液体状の飼料でのみ育成が可能でしたが、今年水産庁の委託事業で国立研究開発法人 水産研究・教育機構をはじめとした共同研究により開発した乾燥粉末化した飼料で、シラスウナギの稚魚になるまで育成することに成功したそうです。

稚魚を穫り過ぎず、生産量を安定させ、供給量を安定させ、価格が高すぎないようにするにはどうすればいいのでしょうか。私にわかるのは、稚魚が減った原因を調査して改善する、そして稚魚の養殖等新しい方法を考える、そして世界的な乱獲やひとりじめをやめること、でしょうか。

大昔からうなぎを食べる食文化を持つ日本人の一人として、私たち庶民がこれからも疲労回復にたまにうなぎを頂くことができれば嬉しいです。そして元気をくれるうなぎに感謝したいです。土用の丑の日は疲労回復にうなぎを頂ける日であると同時に、私はうなぎに感謝の日としたいです。


(引用)

※あたらしい栄養学(高橋書店)食材うなぎ

(参考)
※はじめての万葉集 県民だより奈良 平成28年7月号
https://www.pref.nara.jp/44177.htm
※三河淡水グループ うなぎに関する豆知識
http://www.mikawasuisankakou.jp/knowledge/history.htm 
※紀州南高梅ひつまぶし
https://premier-wakayama.jp/items/1067/
※国立研究開発法人水産研究・教育機構
プレスリリース「新たに開発した乾燥飼料でニホンウナギ仔魚をシラスウナギまで育成することに成功」
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr2021/20220214/
※主要百貨店お歳暮ランキング
高島屋 https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/summergift/category_rnk.html
三越 https://mitsukoshi.mistore.jp/chugen/ranking/index.html?rid=3b7a2d7011554707bc34d256c8c56c02
伊勢丹 https://isetan.mistore.jp/chugen/ranking/index.html?rid=07bf1606d6794fe9a1d796e40bfa0cb3
※プレミア和歌山 紀州南高梅ひつまぶし 
https://premier-wakayama.jp/items/1067/
※じゃらん【土用の丑の日】2022年はいつ?7月・8月にうなぎを食べる意味や由来、風習など
https://www.jalan.net/news/article/551321/
※画像:( photolibrary ) https://www.photolibrary.jp

-