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「天ぷら」と「さつま揚げ」

皆さま、こんにちは。先日、お客様から岩手の大船渡漁港に揚ったサンマを頂きました。我が家はサンマは初物でした。今年は大きなサンマで、脂がのってとても美味しかったです。

ここ数年サンマが不漁で、獲れても身が小さく、値段も高くなっていましたが、今年は近年まれにみる豊漁です。

9月に入って、北海道では1日千トンもの水揚げがあり、発泡スチロールや氷が不足、輸送などの処理が追いつかないとのニュースを見ました。

9月上旬、サンマ漁のさかんな漁港では、処理が追いつかないことや、漁獲目標を大きく上回っていることから、全国さんま棒受網漁協協同組合は48時間休漁措置をとりました。

銚子港では2022年ゼロ、2024年55トン・・・と、この4年間で計84トンしか獲れなかった所、たった1日で112トンのさんまが獲れ、4年間の合計量を上回ったとのことです。同じようにここ数年不漁だったイワシも豊漁です。

どうしてそんなことになるのか、不思議ですね。

メディア各社の情報によると、今年のサンマは大きなサイズのようです。先日スーパーで、「特大」シールが貼ってあるサンマが一匹500円台でした。

いくら特大サイズといっても、豊漁なのに随分高いと思いました。以前は普通サイズが2匹入って500円ぐらいだったと思いますが。

豊漁は何よりですが、サンマやイワシは足が早いのが特長。
有名なサンマ祭りなどでは、刺身で食べることのできる程新鮮な魚を扱っているそうですが、新鮮さを保つにはスピードとそれなりの扱いが必要になります。

スーパーでサンマやイワシのお刺身は滅多に扱ってないように思います。安くて美味しい魚は大体足が早いですね。

それでサンマは焼き魚か干物に。イワシは目刺しか、酢漬けや油漬けの缶詰や練り物になるのかと思います。

練り物

ご存知のとおり「練り物」とは、魚のすり身に塩や具材を加えて練り、加熱して固めた加工品の総称で、かまぼこ、揚げかまぼこ、ちくわ、つみれ、さつま揚げなどのこと。子供から大人まで幅広い年齢層に親しまれている食べ物のひとつです。

水産加工品の総称「練り物」は、加工方法と地域によっていろんな呼び方があり、この点が煩わしいところです。

例えば、西日本では、エビや野菜等の素材に衣つけて油で揚げる「天ぷら」の他に、練り物のことを「天ぷら」と言います。主に揚げかまぼこのことです。

東日本では「さつま揚げ」と言い、愛知・岐阜・北陸では「さつま揚げ」のことを「はんぺん」と言うそうです。

西日本出身で関東に長年住んでいる友人は、上京したての頃、おでんの練り物「天ぷら」のことを周りに話すたびに、「天ぷら?」と不思議そうな顔をされ、スムーズにいかなかったそうです。

同じ単語で漢字が同じで意味が違うとなると、日本人同士でも話が通じないこともある、と言っていました。日本語は難しいですね。

練り物 呼び方いろいろ

西日本では「天ぷら」、北海道以外の東日本では「さつま揚げ」、と言われる練り物(主に揚げかまぼこ)ですが、他の呼び方もあります。

さつま揚げ

天ぷら(西日本・北海道)

飛竜頭(ひりょうず) 豆腐と魚のすり身をベースに野菜等を混ぜて揚げたもの

はんぺん(愛知・岐阜・北陸) さつま揚げのこと

あげはん(広島)

つけ揚げ(鹿児島)

チキアギ(沖縄)

天ぷらの種類

さて、〇〇天と名の付く天ぷらはいくつかあります。和歌山のスーパーには「さつま揚げ」という名前では売ってないです。「平天」か「ほね天」です。

東京の友人に話したところ、びっくりして、近所のスーパーで買ったという「さつま揚げ」の写真を送ってくれました。

平天 魚のすり身をベースに平らに近い形の天ぷら。大体3枚入りの袋で売っています。

丸天 平らで丸い形の天ぷら。博多のうどんには丸天がのっています。

長天 長細い形の天ぷら。讃岐うどんには長天が入っています。

ほね天 タチウオを丸ごと使った天ぷら。和歌山県有田市の特産品。

ごぼう天 棒状にしたごぼうを芯にして魚のすり身で巻いた天ぷらで「ごぼ天」とも言う。

ささ天  ささがきごぼうを使った天ぷら。

じゃこ天 いろんな種類の魚(雑魚)を丸ごと使った天ぷら。愛媛県八幡浜市や宇和島市の特産品。

薩摩では「さつま揚げ」とは言わない

さつま揚げの本場、鹿児島では「つけ揚げ」と言います。

江戸時代、中国から伝わったとされる琉球の揚げかまぼこ「チキアーギ」が薩摩に伝わって独自の料理になり、「チキアーギ」がなまって「つけ揚げ」になったと言われています。

沖縄では現在も「チキアーギ」・「チキアギ」と言うようです。

なぜ薩摩の「つけ揚げ」が、江戸では「さつま揚げ」と言うようになったのか。

調べたところ、江戸では「薩摩のつけ揚げ」として広まり、それが省略され「さつま揚げ」と言われるようになったとのことです。

「つけ揚げ」は、多めの砂糖と、灰地酒(あくもちざけ)という薩摩の甘い地酒を使い、甘口なのが特長。保存用に考えられたそうです。

飛竜頭(ひりょうず)=がんもどき 

さて、練り物と同じおでんの具にがんもどきがあります。飛竜頭(ひりょうず)とがんもどきは同じもの、とされています。「がんもどき」のことを西日本では「飛竜頭(ひりょうず)」、地域によって「ひろうす」「ひりゅうず」と言われているようです。

「がんもどき」は精進料理発祥のおかずとして知られています。基本、魚のすり身が入っておらず、豆腐と野菜等の具材を揚げたものです。

スーパーでは練り物コーナーではなく、豆腐コーナーに置いてあります。

がんもどきの材料である豆腐、こんにゃく、湯葉なども精進料理として重宝され、江戸時代の末頃には、こんにゃくを油で炒めたものを「がんもどき」と呼んだそうです。

元は豆腐ではなく、凍みこんにゃくで作られ、弾力があって雁の肉に似ているとの記述があるそうです。凍みこんにゃくとは、乾燥こんにゃくのこと。

いつ、凍みこんにゃくが豆腐に変わったかはわからないようです。がんもどきの材料のひとつだったようですから、保存できる凍みこんにゃくの方が手に入りやすかったのではないでしょうか。

「飛竜頭(ひりゅうず)」は「がんもどき」と同じ精進料理発祥でしたが、現在は、地域によって、主体の豆腐に魚のすり身、山芋、卵、野菜等の具を混ぜて丸めて揚げたものもあることから、練り物として扱われているようです。

和歌山のご当地練り物

さて、練り物は原料となる獲れる魚によって、日本各地に様々な種類があります。和歌山には、地元の新鮮な魚を使った特産品の練り物があります。

ほねく・ほね天 (和歌山県有田市)

和歌山県有田市の箕島漁港が面する紀伊水道は、大阪湾からの海水と黒潮がぶつかる好漁場で、太刀魚(タチウオ)が獲れます。

タチウオは白身の魚で、脂がのっています。刺身は鯛と同じぐらい美味しいですが、足が早い魚で、天ぷら・塩焼き・煮付け・ムニエルなどで頂くことが多いです。和洋中、どの料理にも合います。

小骨が多いタチウオですが、骨ごとすりつぶしたすり身で作った練り物が「ほねく」です。「ほね天」の名前でも親しまれています。

時々スーパーで見かけて買っては、トースターで焼いて、醬油をつけて食べます。

中身はこんな感じです。昔は薄くて丸が大きかったですが、最近はひとまわり小さくなり少し厚味がでたように思います。

なんば焼き (和歌山県田辺市)

なんば焼きは、エソやグチという白身の魚が原料の焼き抜きかまぼこです。江戸時代の頃より城下町田辺で作られています。

たな梅さん なんば焼き(小) 842円(税込み)

みかん船、和歌山の風景が描かれた箱に入っています。見た目ははんぺんのようですが、身はしっかりして弾力と粘りがあります。食感は板蒲鉾に近いですが、すり身は板につけず、鍋で焼いたものです。

そのまま食べても、醬油をつけても美味しいです。練り物にしては日持ちがします。

昔は紀南の方にしか売っていなかったため、白浜へ行った方からお土産に頂きました。最近は近所のスーパーでも見るようになりました。

牛蒡(ごぼう)巻き (和歌山県田辺市)

牛蒡(ごぼう)巻きは、エソやグチという白身の魚が原料の焼きかまぼこです。柔らかく茹でたごぼうに魚のすり身をつけて棒状にし、魚の皮を巻いて焼き、タレに漬け込んだものです。

1㎝ぐらいの幅に切って食べます。甘辛い味付けです。どちらかと言えばお酒のおつまみにあうような大人の味です。

たな梅さん ごぼう巻き 1058円(税込み)

なんば焼きは江戸時代、藩主が江戸への土産として、日持ちのする魚の加工品を、との要望で、作られたそうです。

殿様からのオーダーでは、さぞご苦労があったことと思います。

当時の努力の甲斐あって、現在、なんば焼きは日持ちのする練り物として知られています。

一度にたくさん魚が獲れても、保存が難しいのは今も昔も同じですね。

(参考)
・日本かまぼこ協会
https://www.nikkama.jp/info/%E3%80%8C%E6%8F%9A%E3%81%92%E3%81%8B%E3%81%BE%E3%81%BC%E3%81%93%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%91%BC%E3%81%B3%E5%90%8D%E3%81%A7%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A/#:~:text=%E6%97%A9%E9%80%9F%E3%80%81%E8%AA%BF%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8B%E3%81%A8,%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AE%E5%91%BC%E3%81%B3%E5%90%8D%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
・東京おでんだね https://odendane.com/oden-naming/
・たな梅 https://www.tanaume.jp/
・上野屋蒲鉾店 https://e-sutokama.com/kamaboko-type
・うちの郷土料理 じゃこ天
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/jakoten_ehime.html#:~:text=%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%83%BB%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%83%BB%E9%96%A2%E9%80%A3%E8%A1%8C%E4%BA%8B,%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
・うちの郷土料理 鹿児島 つけ揚げ 
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tsukeage_kagoshima.html
・うちの郷土料理 茨城 凍みこんにゃく
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shimikonnyaku_ibaraki.html
・和食スタイル 豆腐百珍 https://washoku-style.jp/archives/8393
・にっぽん伝統食図鑑
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/bunrui/nerimono.html・
・紀文 練り物図鑑 
https://www.kibun.co.jp/knowledge/neri/basics/zukan/tsumire/index.html
・毎日新聞 毎日ことば 
https://salon.mainichi-kotoba.jp/archives/184459#:~:text=%E3%80%8A%E3%80%8C%E5%B9%B3%E3%82%89%E3%80%8D%E3%82%82%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%AF%E3%80%8C%E5%B9%B3%E3%82%89,%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B6%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・日本豆腐協会 
http://www.tofu-as.com/tofu/history/06.html
・ニッポン放送
https://news.1242.com/article/153470

身の回りの意外なものに入っているみかんの皮

皆さま、こんにちは。ここ数年秋らしい秋が短いですね。冷房を使わなくなったと思ったら、もう暖房をつけています。春秋物の洋服の出番がないとスタッフも言っていました。

さて、前回に引き続き、今回のブログのテーマもみかんの皮です。みかんの皮は私たちにいい香りを届けてくれるだけではなく、油汚れや水垢等汚れを落としてくれるお掃除の味方だと知りました。

以来、我が家ではみかんの皮が大活躍。お魚を焼いた後の魚焼きグリルに熱湯を注ぎ、みかんの皮をいくつかに千切って入れ、暫くつけ置きした後、皮の表側(オレンジ色)でこすり洗いをすれば、きれいに汚れも臭いも取れるのにはびっくりです。

お風呂の水垢もみかんの皮の白い部分で何度も拭き掃除すると結構取れます。おまけにみかんのいい香りがするので一石二鳥。みかんの皮はカビが生えて長く持ちませんから、みかんを食べた後はお掃除するとちょうどいいです。

さらに調べて見ますと、お掃除の味方だけではなく、私たちの体にもいい影響を与えてくれる身近なものに利用されていることがわかりました。

みかんの皮を乾燥させたものを陳皮(ちんぴ)といい、昔から漢方薬等に使われてきました。ちなみに「陳」は「古い」という意味。漢方の世界では古いものの方が効果があるとされているそうです。実はこの陳皮(ちんぴ)。私たちの身近なものに利用されていました。

ガムや炭酸飲料等の食品や日用品の香料

いい香りからもわかるように、みかんの皮には香りの成分リモネンなどを主成分とする精油を含み、アロマテラピーにも利用されリラックス効果やリフレッシュ効果があります。食品や入浴剤などの香料としても陳皮(ちんぴ)が使用されているようです。リニューアル前のクロレッツ(ガム)にも入っていたかと思います。

胃腸薬や風邪薬の成分

陳皮は胃腸薬や風邪薬の成分に入っていることが多いようです。早速我が家にあった胃腸薬を確認したところ「ちんぴ」が入っていました。

陳皮(ちんぴ)の漢方薬・生薬についての効能を調べてみました。咳や痰を鎮める働きがあることから風邪薬に、消化不良や食欲不振等、胃腸を調整する働きがあることから胃腸薬に入っていることが多いようです。

漢方的には、健胃、去痰、理気の効能があり、消化不良、食欲不振などの胃部不快感を取り除くのに用いられています。(漢方薬のきぐすり.com )

漢方において、陳皮は胃酸の分泌を促進させるとともに、胃から腸への排出を早めたり、腸の蠕動運動を促進させたりする「理気薬」として使用されてきました。そのため多くの漢方処方の胃薬(補中益気湯や六君子湯など)には陳皮が配合されています。(養命酒 ハーブ図鑑 捨てる前に!漢方にも使われる陳皮(みかんの皮)の効能4つと活用法)

それだけではなく、冷え改善の効果もあるそうです。

陳皮は血管を拡張させて血流を良くし、末梢体温を維持する効果のある「へスぺリジン(ポリフェノールの一種)」を含みます。そのため、陳皮を細かく刻んで料理に混ぜたり、お風呂に入れて入浴剤にすると冷えの改善にも役立ちます。
(養命酒 ハーブ図鑑 捨てる前に!漢方にも使われる陳皮(みかんの皮)の効能4つと活用法)

七味唐辛子の原材料

さて、次に私たちに一番馴染のあるものとしては七味とうがらし。その中に陳皮が入っていました。七味唐辛子は「薬研堀(やげんぼり)」とも呼ばれ、唐辛子を主とした薬味や香辛料を調合して作られる日本の調味料。もともとは漢方薬だったそうです。おうどんやおそばに欠かせない七味が、漢方薬とは思いませんでした。

早速我が家の七味唐辛子の原材料を確認してみたところ、赤唐辛子・黒ごま・ちんぴ・山椒・麻の実・けしの実・青のり、の7種。確かにちんぴが入っていました!

・七味とうがらしの誕生

七味唐辛子の発祥は東京浅草にある「やげん堀」というお店。創業1625年(寛永2年)初代からし屋徳右衛門さんが漢方薬からヒントを得て、吟味した7種の素材で創ったのが始まりとのことです。

やげん堀の七色唐辛子は献上品になり、徳川三代将軍家光公に喜ばれて徳川の「徳」の字を賜わったそうです。そのことから、山に徳の字ののれんを掲げておりロゴにもなっているそうです。

・薬研堀(やげんぼり)とは?

東京・浅草の七味とうがらし屋さん「やげん堀」と「薬研堀(やげんぼり)」のつながりを調べてみました。「薬研堀(やげんぼり)」は現在の東京都中央区東日本橋にかつて存在した運河であり、堀周辺の通称地名。

広重『名所江戸百景 両ごく回向院元柳橋』,魚栄,安政4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1312241 (参照 2023-11-30)

広重の浮世絵をご覧下さい。両国の回向院より元柳橋を望む場面が描かれています。手前が隅田川、奥の橋が元柳橋で、これをくぐるのが薬研堀だそうです。

薬研(漢方薬を粉末にする器具)の 形に似た堀があったことから薬研堀町と名付けられたと言われています。

七味とうがらし屋「やげん堀」さんは今は移転されお店は浅草にありますが、創業当時は薬研堀にお店があったそうです。江戸時代、日本橋薬研堀町は医者や薬問屋が多く、別名「医者町」で通っていたそうです。創業の地が店名の由来になっていたのですね。

薬研堀(やげんぼり)とは
・江戸時代にあった運河の名前
・地名
・店の名前(東京・浅草「やげん堀」)
・七味とうがらしの通称

日本三大七味

東京・浅草「やげん堀」さん発祥の七味とうがらしですが、長野の善光寺の七味や京都清水の七味も有名ですよね。調べたところ、これら3つは「日本三大七味」と呼ばれていることがわかりました。

浅草の浅草寺・長野の善光寺・京都の清水寺と、いずれも歴史ある大きなお寺の門前にお店があります。一覧にしてみました。

お店の名前創業材料
東京・浅草 やげん堀 1625年(寛永2年)唐辛子、焼唐辛子、黒胡麻、山椒、陳皮、けしの実、麻の実
京都・清水寺参道 七味家本舗創業1655年(明暦年間)唐辛子、山椒、麻の実、白胡麻、黒胡麻、青のり、青紫蘇
信州・善光寺 根元八幡屋礒五郎1736年(元文元年)唐辛子、山椒、生姜、麻種、胡麻、陳皮、紫蘇

唐辛子・山椒・麻の実(種)・ごま、はどの七味にも入っていますが、東京・浅草やげん堀さんの七味には唐辛子と焼き唐辛子の2種類入っており、紫蘇は入っていません。

京都・清水の七味屋本舗さんの七味には陳皮が入っていませんが、青のりが入っていました。それから信州・善光寺の根元八幡屋礒五郎さんの七味には生姜が入っていました。

そう言えば、きつねうどんとかやくご飯のセットが美味しくて有名な大阪道頓堀今井さんでおうどんを食べた時、七味に山椒がたっぷり入っているのか、パンチの効いた味でした。

それがきつねうどんにとてもよくあったのを覚えています。七味の色も赤くなかったと思います。

唐辛子だけの一味唐辛子に対し、七味はお店によって材料や調合が少しずつ違い、お店独自の味や香りになっているのですね。我が家にあるスーパーで買った一般的な七味と一味ですが、比べても一目瞭然です。

辛みが欲しい時は七味に一味を足すといいかもしれませんね。

おうどんやおそばに欠かせない七味とうがらし。今から約400年も前の江戸時代から七味とうがらしがあったとは驚きです。テレビの時代劇や池波正太郎さんの時代小説等には必ずおそばを食べる場面が出てきます。

見たり読んだりしていると、おそばが食べたくなります。さすがにおそばに七味をふりかけるシーンは見たことはありませんが。

雪の降る寒い中、江戸っ子はきっと七味とうがらしをいっぱいかけて、身を寄せ合って屋台のおそばを食べていたのかもしれませんね。

東京・浅草 やげん堀(七味唐辛子)
信州・善光寺 根元八幡屋礒五郎(七味唐辛子)
京都・清水寺参道 七味家本舗(七味唐辛子)
道頓堀 今井(うどん屋)

お屠蘇にも陳皮(ちんぴ)

最後にご紹介するのはお屠蘇(おそと)。無病息災を願ってお正月にいただくお屠蘇(おとそ)にも陳皮(ちんぴ)が使われていました。日本酒をお屠蘇代わりに飲む方も多いですよね。

本来お屠蘇は屠蘇散(とそさん)と呼ばれる5~10種類の生薬を配合したものを、日本酒やみりんに漬け込んだ薬草酒とのことだそうです。

調べたところ、日本酒「久保田」で有名な新潟の朝日酒造さんにお屠蘇の情報が掲載されていました。

製造メーカーによって異なるそうですが、体に良い作用を持つものが調合されていて、一般的な屠蘇散(とそさん)の材料とお屠蘇の材料は以下のとおりです。

お屠蘇の材料
●日本酒(例:久保田 千寿)
●本みりん
●屠蘇散(とそさん)の中身
・山椒(サンショウ):胃を健やかに整える
・陳皮(チンピ):血行を良くして冷えの改善が期待できる
・桂皮(ケイヒ)または肉桂(ニッケイ):発汗や解熱、整腸作用
・桔梗(キキョウ):去痰作用や鎮静、鎮痛作用
・八角(ハッカク):抗菌作用や健胃作用
・白朮(ビャクジュツ):健胃作用や利尿作用
・防風(ボウフウ):発汗や解熱作用、抗炎症作用
(朝日酒造 お正月に欠かせない「お屠蘇(おとそ)」の意味とは。意外と手軽な作り方も紹介)

いかがでしたでしょうか。皆さんのお役にたてれば幸いです。

これから年末に向けてのお忙しい時期に風邪をひかないよう、風邪予防には和歌山のみかんがおすすめです。食べた後はみかんの皮をお風呂に入れたり、お掃除したり、是非やってみて下さいね。

そして、おうどんやおそばに陳皮(ちんぴ)の入った七味とうがらしをたっぷりかけて、体を温めて下さいね。

(参考資料)
・わかさの秘密 ちんぴ https://himitsu.wakasa.jp/contents/citrus-peel/
・漢方薬のきぐすり.com
https://www.kigusuri.com/kampo/jiten/shouyaku/chimpi/
・養命酒 ハーブ図鑑 捨てる前に!漢方にも使われる陳皮(みかんの皮)の効能4つと活用法

https://www.yomeishu.co.jp/health/3617/
・朝日酒造 お正月に欠かせない「お屠蘇(おとそ)」の意味とは。意外と手軽な作り方も紹介

https://magazine.asahi-shuzo.co.jp/know/136
・東京・浅草 やげん堀 https://yagenbori.jp/
・信州・善光寺 根元八幡屋礒五郎 https://www.yawataya.co.jp/
・京都・清水寺参道 七味家本舗 https://www.shichimiya.co.jp/

サンマとみかんの皮

皆さま、こんにちは。長かった暑さも過ぎて日の入りが早くなり、過ごしやすい季節になりました。秋の味覚を味わえる時期ですね。みかん、りんご、柿、いちじく、さつまいも、栗、そして秋刀魚。書いているだけでお腹が空いてきます。

食欲の秋に水を差しているのが近頃の物の値上り。和歌山に暮らしているとみかんの値上りはそれ程感じませんが、りんごは1個200円以上。これまでの2倍以上です。

東京近郊の友人に聞いてみたところ同様で、10月下旬時点でりんごは1個200円程度。サンマも1匹200円程度だそうです。ちなみに梨が1個480円で驚いた!と言っていました。

確かに1匹100円以内で手に入っていた頃もありましたが、200円なら手に届くお値段ですよね。

10月下旬時点で、福島県に近い三陸沖に4年ぶりにサンマが多く集まる漁場が形成されたとか。気仙沼港では近海で操業する小型船が2年ぶりに水揚げした等、嬉しいニュースも入ってきています。

全国のサンマ漁の漁師の皆さん、どうぞお気をつけて頑張って下さいね!

幸いお客様から初物のサンマを頂きました。新鮮でピーンとしたサンマで、大きさは小ぶりでもなく普通。脂がのっていてとても美味しかったです。

今のように少し肌寒くなる頃の夕暮れ時、家々に灯りがともり、ご近所からサンマを焼くいい匂いがしてくると、私は幸せを感じます。日本人でよかった!と思います。

皆さんが幸せを感じるのはどんな時でしょうか。

サンマと和歌山

実はサンマは和歌山に馴染のあるお魚です。以前ブログでご紹介しましたが、日本のサンマ漁は約300年前の江戸時代中頃、紀伊半島の東に広がる熊野灘が発祥とされています。

現在サンマの獲れる主要な産地としては北海道と三陸が有名ですが、戦前は熊野灘が全国一の生産量をあげていた頃もあったそうです。サンマは三陸沖から寒流に乗って熊野灘に南下していたのです。

熊野灘にくるまでの間、潮にもまれて身が引き締まり、脂も適度に落ちてたサンマは熊野灘側では丸干しや寿司に使われるようになりました。紀伊水道側の雑賀崎地域では干物にして和歌山城の徳川家に献上し、また、塩漬けにして江戸に送っていたことが記録として残っているとのことです。

和歌山県内のサンマ郷土料理

・サンマのなれずし

和歌山の郷土料理「なれずし」は大体サバで作られますが、県南部・熊野地方ではサンマで作られます。なれずしはお酢を使わずに発酵させたもので、サンマ寿司と呼ばれるお寿司とは別のものです。

私はサバの早なれずし(あせずしとも言います)はたまに食べますが、サンマのなれずしはまだ頂いたことがありません。

・サンマ寿司

サンマ寿司は、開いて塩漬けしたサンマを柑橘系のお酢でしめて酢飯に載せた熊野地方の郷土料理です。潮岬を境に、西牟婁郡(にしむろぐん)では腹開き、東牟婁郡(ひがしむろぐん)では背開き、と捌き方が違うそうです。

サンマ寿司は随分前に頂いたことがあります。焼いたサンマ寿司もあるそうです。

出典:農林水産省Webサイト うちの郷土料理 さんまずし(背開き) 和歌山県

 

出典:農林水産省Webサイト うちの郷土料理 さんまずし(腹開き) 和歌山県

・サンマの丸干し

サンマを塩もみし一日置いてから海岸に2~3日干したものです。サンマ寿司と一緒に熊野地方で食べられています。

・灰干しサンマ

こちらも以前ブログでご紹介しましたが、和歌山の特産に雑賀崎に灰干しサンマがあります。

干して乾燥させるのではなく、灰干しサンマはサンマを開いて塩漬けし、水分を通すセロファンで包み、高い吸湿性をもつ火山灰の中に数時間入れて余分な水分を抜き、お魚を乾燥させる特殊な製法で作られています。

材料は現在北海道産が使われているようです。臭みがなくしっとりとして旨味が凝縮されているのが特長です。ちなみに灰干しサンマ寿司もあります。

灰干しサンマ photo by Rinko Nakamura  ©Kuboseisakusyo

サンマを焼くと後片付けが・・・

サンマの話を書いているとサンマが食べたくなってきました。ところで、皆さんはお魚をどのようにして焼いていますか?

ガスコンロのグリル、魚焼き網、魚焼きグリルロースター、フライパン、オーブン等。今はいろんな焼き方がありますね。我が家は魚焼きグリルロースター使っています。

どのように焼いてもお魚を焼くとグリルや網の後片付けがやっかいです。洗剤を使っても手強い汚れの時もありますし、汚れは落ちてもお魚の臭いはなかなか取れません。

photo by Rinko Nakamura  ©Kuboseisakusyo

みかんの皮は優れもの

先日みかんを送った友人が、お魚を焼いた後の汚れや臭いはみかんの皮でグリルや網を掃除すれば取れる、と教えてくれました。みかんのある季節はみかんの皮を使い、春夏はオレンジの皮を使っているそうです。

みかんの皮

汚れた天板に水を張って網を入れ、その中にみかんの皮1個分をいくつかに千切って入れ、一緒につけおきします。

暫くつけ置きした後、皮の表側(オレンジ色)を網や汚れたところに当ててこすり洗いします。軽い汚れの時は汚れも臭いも大体落ちますが、その後洗剤をつけて普通に洗えばいいそうです。

臭いだけ気になる時は、みかんの皮をお湯でよく洗い、まず皮の表側(オレンジ)を臭みのあるところに当てて拭き、次に裏側(白)で拭いて自然に乾かせばいいとのこと。皮のカスや油分のベタつきが気になる時は、お湯に浸して固く絞った布巾で拭くとよいそうです。

確かに台所洗剤やお風呂の洗剤にはよくオレンジの成分が入っていますよね。調べてみると、柑橘類の皮にはクエン酸・リモネン・ペクチン等の成分が含まれ、お掃除によい効果がありました。複数の情報を参考にまとめてみました。

クエン酸柑橘類や酢に含まれる酸性成分で自然由来
水垢などアルカリ性に効果的
リモネン天然の油成分。油になじみやすく、油の溶解に効果があり、
界面活性剤と同じように汚れを落とすはたらきがある
ペクチン皮の白い部分や筋に多く含まれる成分で食物繊維
コーティング効果やツヤ出し効果があり、
掃除した後の状態をきれいに保つ効果がある

みかんの皮の表側(オレンジ色)の油成分リモネンが、油汚れの部分に溶け出して汚れを落とすしくみなんですね。リモネンという成分はエッセンシャルオイルでよく見かけます。成分ひとつとってみても、いろんな効果があるのですね。

次の情報が参考になりました。みかんの皮を茹でてお掃除用のみかんスプレーを作ってみようかと思いました。

いかがでしたでしょうか。皆さんのお役にたてれば幸いです。

季節の美味しいものを頂いて、毎日元気に頑張っていきましょう。そして、サンマを焼いた後のお片付けにはぜひみかんの皮を使ってみてくださいね。

 

(参考資料)
・「本場の本物」紀州雑賀崎(さいかざき)の灰干しさんま(一般社団法人 本場の本物ブランド推進機構)
https://honbamon.com/product/29-kaikazaki-hoshisanma/index.html
・紀伊のサンマ漁 (和歌山県)
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/071001/d00207202_d/fil/33.pdf
・さんま漁業(全国さんま棒受網漁業協同組合)
http://www.samma.jp/fishery.html
・うちの郷土料理 さんまずし(背開き・腹開き) 和歌山県(農林水産省Webサイト)
情報提供元 : 郷土料理と日本型食生活(和歌山県生活協同組合連合会)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sanma_zushi_wakayama.html
・さんまの丸干し(くまどこ)
http://www.kumadoco.net/dictionary/report.php?no=1
・みかんの皮を使った掃除の裏技6選! 油汚れ、イヤな臭いを取る方法 マイナビ子育て
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/5678
・みかんの皮を捨てる前に!ササッとできる簡単掃除のテクニック5つ
https://mrs.living.jp/k_life/article/4041607