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今日も東奔西走 紀美野町東西30キロ

皆さま、こんにちは。厳しい残暑が続いていますね。最近の暑さは酷暑と言った方がいいかもしれません。都会に比べると涼しいと思っていた紀美野町も、日中は都会と変わらない気温になっています。

和歌山では、8月に入ってから24日までに、35度以上の猛暑日が16日。暑さ指数が危険(31以上)の日が19日もありました。

炎天下にいると手足が焦げるようで、風はあっても熱風で息苦しく、危険を感じるような暑さです。

当然食慾も落ちますが、食慾がないからと言って塩飴や塩タブレット、スポーツドリンクや麦茶を飲むだけ、ではバテてしまいます。

こんな時にぴったりだと思うのが魚の干物。最近は健康への配慮から、塩分の多い干物を避ける傾向もあるようですが、こんな時こそ干物はいかがでしょうか。

私はサバの干物が好きですが、干物のお茶漬けは、エネルギーと水分と塩分が摂れ、喉ごしがいいです。

ご飯の上に焼いた干物のほぐし身をのせ、ネギ・青じそ・生姜・ミョウガ・梅干し・大根おろし・海苔・ごま・あられ・わさび等、お好みの薬味をのせます。塩気が足りない時は塩を少し足します。臭み消しや風味付けにお醤油を少し垂らしてもいいと思います。

我が家はほうじ茶ですが、緑茶・麦茶・ウーロン茶など、お好みのお茶でも白湯でもいいと思います。最近は冷やし茶漬け等も人気のようですが、私はやっぱり熱いお茶をたっぷりかけてさらさらと頂くのが好きです。

紀美野町消防本部さんを訪問しました!

前置きが長くなりました。先日、下佐々地域の貴志川沿いにある紀美野町消防本部さんを訪問しました。

猛暑による救急活動の現状や、救急救命士さんのお仕事、そして台風や大雨等による災害救助活動とその訓練等について、IさんとMさんにお話を伺いました。

熱中症と草刈り

6月~8月の3ヶ月、紀美野町内の熱中症による救急搬送数は11人(昨年12人)でした。取材当日も、10時までに熱中症関連の出動が2回あったそうで、1日5、6回の出動になることもあるそうです。

室内と屋外と比べると、紀美野町では屋外で熱中症になる方が圧倒的に多いことがわかりました。草刈り作業中の方が多いそうです。あと少しで終る、やってしまおう、と頑張って熱中症になるパターンが多いように思うとおっしゃっていました。

確かに夏は放っておくとあっという間に草ぼうぼうになりますね。今日は頑張ってここまでやっておこう、という気持ちはわかりますが、定期的に水分補給することが大事だとおっしゃっていました。

 

仕事場は紀美野町東西30キロ

救急活動は、指令センターから指令を受けた救急救命士さんたちが、緊急を要する人のもとへ駆けつけて応急処置(点滴、アドレナリン注射、気管挿管等)を行ない、救急車等で急病人やけが人を病院に搬送する仕事です。

救急救命士さんは、6ヶ月間の研修を経て国家試験に合格した方、指導救命士さんは、救急救命士・救急隊長として通算5年以上の実務経験のある方です。現在紀美野町消防本部では3名の指導救命士さん、他救急救命士さんが任務にあたっています。

紀美野町は、東は高野のふもと長谷宮(はせみや)から西は小畑(しょうばた)まで、東西30kmあります。大事なことは、いち早く現場にかけつけること。要請のあった方の状態を見て、どの病院を選択して搬送するかが重要だとおっしゃっていました。

点滴1本15分で終るそうですが、遠くへ出動の場合は6本積んで行く等、出先の状況に応じた対応が必要だとおっしゃっていました。

救命講習で応急手当学べます

紀美野町消防本部さんでは、救命講習を実施しています。救命講習とは、心肺蘇生やAEDの使い方、けがの手当など、応急手当を学べる講習で、救命入門コース(90分)、普通救命講習1(180分)他、レベルに応じた講習があります。

学校や企業や個人からの依頼で出張して講習も行なっており、その中で熱中症対策についても話をしているそうです。我が社も受講したいと思いました。

出典:紀美野町ホームページ/消防本部/各種講習案内(https://www.town.kimino.wakayama.jp/sagasu/shobohonbu/325.html)

地獄の訓練?!暑熱順化

また、紀美野町消防本部さんでは、消防隊員さん自身が過酷な環境で熱中症にならないよう、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」訓練を実施しています。

まず、消防服・合羽・防火服の順に重ね着します。総重量は15キロ位になるそうです。15キロの装備で20分、二人組で70~80kgの荷物を運ぶ訓練だそうです。

隊員の方にとってもかなりキツい訓練だとおっしゃっていました。話を伺っただけで苦しくなるような、過酷な訓練を日頃からなさっていることを知りました。本当にお疲れ様です。

画像提供:紀美野町消防本部さん

災害救助活動について

次に、災害救助活動について伺いました。紀美野町には高野山西麓を水源とする紀の川水系最大の支流「貴志川」と、貴志川の支流「真国川」の2つの川が流れ、これからの台風シーズンは注意が必要です。

貴志川上流

紀美野町消防本部さんでは、大雨が降った時は、河川のパトロールに出たり、防災無線で呼びかけを行なっています。

昨年6月、大雨により貴志川が氾濫し、1箇所だけでなく多発的に水害が発生しました。紀美野町消防本部さん・地元消防団の皆さん・役場の職員さんが皆で力を合わせて、災害救助・捜索・復旧活動を行なったそうです。

増水で住宅の周囲が完全に水没した状況で、住宅に孤立した住民を消防本部さんが救助。孤立した住宅へは、救命ボートを使用し、陸地からロープを展張して、そのロープを手掛かりに救助活動を行なったとのことです。

また、最近では大雨による増水で、貴志川の中州に取り残された方の救助活動を行なったとおっしゃっていました。

貴志川が氾濫した経験を踏まえ、町内に土嚢ステーションが作られたそうです。土壌ステーションは、紀美野町役場、紀美野町役場美里支所、各消防団詰所にあります。

近隣の消防署さんとの連携

ところで、川は地域をまたいでいますが、災害発生時、近隣の消防署さんとの連携について伺いました。

現在、和歌山市、海南市、那賀、紀美野町、和歌山広域消防の4消防本部が一緒になった和歌山広域消防指令センターがあり、119番通報の受付、消防車や救急車の出動指令及び無線の統制などの消防指令業務を共同で行っているとのことです。

共同で行うことで、業務の効率化や各消防本部との連携、情報共有が可能となり、市町境で発生した災害などでも素早い対応ができるようになったそうです。紀美野町消防本部さんからも2名の隊員が指令センターで勤務にあたっているそうです。

日々の訓練

地獄の訓練?!暑熱順化訓練の他、紀美野町消防本部さんでは日々様々な訓練を行なっています。その様子を写真でご紹介します。

画像提供:紀美野町消防本部さん 山中で伐採作業中、熱中症により動けなくなった人を救出する想定訓練 

 

画像提供:紀美野町消防本部さん 山林火災の想定訓練 消防車が進入できない池までの搬送訓練

この他、和歌山市、海南市、那賀、紀美野町、和歌山広域消防の4消防本部で年一回、様々な合同訓練を行なっているとのことです。

また町内では、地元消防団(15団)と、年一回放水の合同訓練を行なっているそうです。

災害用SPが現場で使用されました

さて、昨年6月の大雨による貴志川増水時、紀美野町消防本部さんが弊社の災害用SPを使用して救助活動を行ったと伺いました。災害用SPは弊社が開発した風水害の救助・復旧活動用ウェアです。

災害用SPを着用しての訓練の様子

編み上げ靴等の作業靴を履いて活動しながらも、足が濡れず・汚れず、不快なく活動できるウェア一体型防水ソックス・胸付ズボン仕様のウェアです。

救助活動を行なった隊員の皆さんに、現場で実際に使用した感想を伺いました。

お客様の声(紀美野町消防本部の皆さん)
災害現場で「災害用SP」を使用した感想

・住宅に孤立した住人の救助活動時に使用。ソックスへの浸水はなく快適。

・視認性がよかった。消防の再帰反射ネームを入れて夜間作業によかった。

・足が濡れなくてよかった。

・ウエアに全然水が染みこまず、防水性が良かった。

・ある程度厚みがあり、破れもしないで安心して作業できた。

・胸当てがあり、ある程度水位があっても作業できた。

・従来の合羽よりもベタベタしないで気持ちがよかった。

・ゴアテックスの合羽を着ているが、比べても遜色ないと思った。

・洗濯しても汚れもすぐに落ちた。

・股が下がって大きく足を開く時に違和感があった。

実際の災害現場で災害用SPがお役にたてて何よりです。貴重なご意見、心より感謝いたします。

肩ベルトの調整方法

なお、一番下のご意見から、弊社の説明が不十分だったことがわかりました。ご迷惑をおかけいたしました。ズボンがずり下がったような感じになってウェアが体にフィットしない、ということだと思います。

災害用SPの肩ベルトは、一度バックルに取付けると固定される仕様です。
ズボンがずり下がったような感じになり、ウェアが体にフィットしない場合は、ちょうどよい股上丈になるよう、肩ベルトの長さを調整して下さい。

1.肩ベルトをバックルの隙間から取外します。

2.ちょうどよい股上丈になるよう、肩ベルトの長さを調整し、再度バックルに取付けます。

3.もう一方の肩ベルトも、左右同じ長さになるよう調整し、再度バックルに取付けます。

ウェアを着用して、体にフィットしているか(ちょうどよい股上丈になっているか)、確認して下さい。ウェアを着用したままでの調整も可能です。

今回お話を伺って

紀美野町消防本部の隊員さんは交代制の24時間勤務。朝の8:30に勤務が終わります。24時間勤務明けの休日、どのように過ごしているのが伺って驚きました。

紀美野町は東西30キロ、総面積の75%が森林。救急車が通れる道幅があるか、車を停める場所はあるか等、いざという時に備え、日頃から町内のいろんな場所を見て回っているそうです。

お疲れにも関わらず、自己研鑽に励んでいらっしゃる姿には頭が下がります。

日々の厳しい訓練と努力によって救急活動・救助等消防活動が行なわれ、私たち町民の暮らしが守られていることがよくわかりました。

また、今回災害用SPを使用した貴重なご意見から、ウェアを具合よく使って頂くためには弊社の説明が不十分だったことがわかりました。

今後、災害用SPを使用して河川等で訓練実施の際は、第一線の現場で活動する皆さんのお役にたてるような、よりよい商品づくりのためにも、ぜひ見学させて頂けますと幸いです。

それからこの機会に、我が社も出張救命講習をお願いしました。社員全員で参加したいと思います。

紀美野町消防本部のIさん、Mさん、皆さん。このたびはお忙しい中、お時間を頂きありがとうございました!

体に気をつけて頑張って下さいね。応援しています。

 

参考
・熱中症予防情報サイト(環境省)
https://www.wbgt.env.go.jp/record_data.php?region=07&prefecture=65&point=65042
・過去の気象データ(気象庁)https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
・和歌山県海草郡紀美野町役場 https://www.town.kimino.wakayama.jp/
・和歌山市公式ホームページ https://www.city.wakayama.wakayama.jp/index.html

梅雨の晴れ間と梅干し

皆さま、こんにちは。このところ梅雨の晴れ間が続いていますね。洗濯物は助かりますが30度を超える蒸し暑い日が続くと、まだ体が熱さに慣れていないのか結構堪えます。汗をかき、飲み物の量も増えてきました。人によってはこれを「熱中症」と言うかもしれませんね。

蒸し暑い中、胸付きズボンを着て作業なさっている漁師さんや水産加工の皆さん、毎日お疲れ様です!

疲労回復には梅干し

疲労回復には梅干しがおすすめです。以前ブログでご紹介しましたが、我が家は年中毎朝茶粥と梅干しを食べています。水分も塩分もクエン酸も一度に摂れるのがいいところです。疲れていても一晩ぐっすり眠れば次の日は疲れが取れているように思います。

以前東京の友人に、関空の和歌山お土産物コーナーは梅干ばっかりだったよ、と言われたことがありますが(笑)和歌山と言えばやっぱり梅干し。昨年の梅の収穫量は58年連続全国一位。シェア67%とダントツです。

梅干しと言えば南高梅

先日紀美野町近くの産直市場に行ったところ、梅干しづくり用の梅を買い求めている人で賑わっていました。お目当ては梅干しの代名詞「南高梅」。県内生産量の8割以上が南高梅だそうです。ちなみに、

5月下旬~6月中旬に出回る青梅梅酒やシロップ漬け用
6月中旬~下旬に出回る少し黄色く色づいた梅梅干し用
甘い香りがする黄熟梅梅ジャム用

にするのがおすすめとされています。梅ジャムはあまり馴染がないかもしれませんが、あんずジャムに近い味で美味しいですよ。

稀少な梅も栽培

調べたところ和歌山では他の品種も栽培していました。梅干しはもちろんですが、お家でシロップ漬け梅酒を作って楽しみたいような品種です。ご紹介しますと、

・梅ジュースや梅酒にするとワインのような鮮やかな紅紫色に仕上がる稀少な梅「パープルクイーン」や「ミスなでしこ」。

・透明感のあるさっぱりした仕上がりになる「古城(ごじろ)

・うめシロップや梅酒にするときれいな紅色になる「露茜(つゆあかね)

残念ながら紀美野町周辺の産直市場では「古城(ごじろ)」以外見かけたことがなく、和歌山に住んでいながら知りませんでした。梅酒というと琥珀色。紅色や紅紫色になる梅酒、見てみたいし飲んでみたいです。

菊正宗酒造 古城(こじろ)梅酒

プレミア和歌山 「縁 -ENISHI-」 株式会社 紀州本庄うめよし(露茜使用の梅酒)

しょっぱいすっぱいだけじゃない!梅干しいろいろ

ところで、最近の梅干しはハチミツが入っていたり、りんご酢が入っていたりと、いろんな梅干しが出回っています。以前頂き物の梅干しを、パッケージをよく見ないで茶粥と一緒に食べたところ、デザートのように甘い味のはちみつ梅だったことがありました。見た目は同じなので食べるまでわかりません。

●りんご酢 梅干し

私は茶粥やご飯にはやはりしょっぱくて酸っぱい昔ながらの梅干しが好きですが、最近は健康志向の高まりか、梅干しの塩分も減塩傾向が好まれているようです。りんご酢漬けやはちみつ漬も、塩分を減らして保存性を高めるための工夫なのかもしれませんね。

アマゾンや楽天の売れ筋ランキングを見たところ、昔ながらの酸っぱい梅干し塩のみ等と表示されている商品がありました。はちみつ漬け等も広告上では梅干しと分類されているようで、その辺りどうなっているのでしょうか。

梅干しの定義

調べてみると、農水省の農産物漬物の日本農林規格があり、梅干し用語は「梅漬け」「梅干し」「調味梅干漬け」「調味梅干し」の4つに分類され、それぞれ定義されていました。

農林水産省 農産物漬物の日本農林規格

わかりやすくご紹介しますと、

・塩につけて干したもの:梅干し ※いわゆる白干梅(しらぼしうめ)
・赤じそに漬けて干したもの:調味梅干し
・私たちが梅干しと認識している「カリカリ梅」:正確には干してないので梅漬け

ということになります。

梅干しのカツオ梅はお弁当にいいですし、最近人気の調味梅漬けのはちみつ漬けもしょっぱくてすっぱいのが苦手な方にはいいと思います。ただ、調味梅干しは梅干しに比べると塩分がかなり少ないので保存期間が違ってくると思います。

「食品標準成分表(2020年版)」によると、塩分は「梅干し」が18.2%、「調味梅干し」は7.6%となっていました。

梅干しを買う時は商品ラベルの名称を見て、どの種類か、塩分は何%か、賞味期限はいつか等、確認が必要ですね。

熱中症対策に梅干し

今、建設現場では熱中症対策として、作業員がいつでも手軽に塩分を摂取できるように塩飴や塩タブレットが置いてあるそうですが、これは梅干しと同じようなものですね。

私が知っている熱中症対策の知識としては、

・人は汗をかくと体の水分とともに塩分等のミネラルも流れ出てミネラル濃度が低くなり、熱中症の症状がでる。
・そのため水分補給だけでなく塩分等のミネラルを補うことが必要。
・そしてミネラルの吸収を助ける働きがあるクエン酸を一緒に摂るとよい。

等一般的なものです。

調べて見ると、ミネラルは体の機能を調節・維持するのに欠かせない体内でつくられない微量栄養素で、食品から摂取する必要があるとのこと。

よく考えると、熱中症という言葉が世の中に出回っていなかった頃は、汗をかいて疲れる季節になると麦茶赤じそジュース梅ジュースを飲んだり、梅干し紅生姜を食べたり、塩昆布を食べたり、スイカに塩を振って食べたりしてやり過ごしていました。

梅雨の時期に摂れる、脂ののりがよい入梅いわしと梅干しを使った「いわしの梅煮」も、さっぱりと美味しく食べられるだけでなく、梅干しの殺菌力で保存性もよくなることから食べられてきたのでしょう。

梅干しにはナトリウム等のミネラルもクエン酸も含まれていますし、調べたところ、麦茶にはミネラルが含まれ、麦茶の原料である大麦には身体を冷やすはたらきがあるとされています。夏に麦茶を飲むのは理にかなっていたのですね。

スポーツドリンクを飲んだり塩飴や塩タブレットを舐めて熱中症対策を!と言われるようになる前から、私たち日本人は暑くなると水分と塩分等ミネラルの補給するという、先人の暮らしの知恵がちゃんと受け継がれた文化の中に暮らしていたのです。

梅干しの歴史

調べたところ諸説ありましたので、共通情報のみご紹介したいと思います。まず、日本に梅が伝わったのは約1500年前の飛鳥時代。梅干しの原型となる 「烏梅(ウバイ)」が中国から伝来しました。

これは青梅を薫製・乾燥したもので、現在も漢方薬のひとつになっているそうです。その後梅の木が中国から伝来し、観賞用としても楽しまれるようになったそうです。

梅干しとしては平安時代に書かれた日本最古の医学書『医心方』に梅干しの効能がとりあげられていることがわかりました。

戦国時代、兵糧食に梅干し

梅干しが日本全国に広まったのは鎌倉時代等の戦国時代。兵糧食として活用され広く普及するようになったそうです。当時武士は食料袋に、梅干の果肉・米の粉・氷砂糖の粉末を練った「梅干丸」を常に携帯し、薬としても使われていたということです。

残念ながら「梅干丸」の情報は見つかりませんでしたが、同じような昔の携帯保存食を再現したお菓子を発見したのでご紹介。何と戦国時代の伊賀の忍びの携帯保存食を再現したお菓子で、その名も『兵粮丸』(ひょうろうがん)。面白いですね。 食べてみたいです。

兵粮丸(ひょうろうがん) 紅梅屋(三重県伊賀市)

一方、「大盤振る舞い」の語源にも梅がかかわっていました。武家社会のもてなしは「椀飯」と呼ばれ、クラゲ・打ちアワビなどに、梅干しや酢・塩が添えられたご馳走でした。正月に有力な御家人が将軍に対して椀飯を奉ることを「椀飯振」と言い、それが「大盤振る舞い」の語源となったそうです。

江戸時代、食べ物・民間薬として広まった梅干し

そして、江戸時代には民間薬として使われるようになっています。そう言えば、テレビの時代劇で、よく梅干しを額やこめかみに貼っている人を見たことがあります。江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には烏梅(うばい)がインフルエンザを含む悪性流行疫病を治し、咳・熱を止め、白梅はおできや乳腺炎に薬効があると書かれているとのことです。

また、烏梅(うばい)をキク科の植物「紅花(べにばな)」と合わせることで鮮やかな紅色の染料ができることから、衣類用の繊維を染めるのはもちろん、口紅や頬紅にも使用されていたそうです。

梅干が庶民の食べ物として広まったのも江戸時代。紀州の田辺やみなべはお米ができないやせ地が多く、農民は重い年貢に苦しんでいたところ、やせ地に自生していた「やぶ梅」が注目され、栽培が推奨され広がっていったそうです。

木材、木炭、みかんとともに梅干しが木樽に樽詰めされ、和歌山から江戸に向けて船でたくさん出荷されたそうです。江戸の人々の梅干を食べる習慣が全国に広がっていき、梅干の需要は次第に高まっていきました。朱色のしそ漬梅干が出来たのも江戸時代だそうです。

また、麦茶が庶民にも広く飲まれるようになったのも江戸時代。当時は「麦湯」と言われていました。そう言えば時代劇のテレビで、♪麦湯いらんかね~♪ と女性が麦湯を売り歩く姿を見たことがあります。江戸の街中に麦湯を提供する「麦湯店」は、夏の夜の風物詩として人気だったそうです。

明治時代、伝染病治療に役立った梅干し

明治10年代にはコレラ、赤痢などの流行があり、梅干の殺菌力が見直され需要が急増したそうです。明治40年以降は日清・日露戦争・第二次世界大戦による軍用食としての梅干し需要の増加により栽培が増加したそうです。

その後食糧難のため、梅の木を伐採してサツマイモ等を栽培したことから、梅の栽培面積が著しく減少。戦後、社会経済の復興とともに、果実類の需要も増加し、梅の栽培も昭和30年代以降は急速に伸びていったそうです。

現在、新型コロナウイルス対策にも梅干し

昨年、梅干しが新型コロナウイルスの感染や増殖を抑制することが培養細胞を使った研究で分かったと、和歌山県みなべ町の委託を受けた東海大学が発表しています。

また、紀州田辺うめ振興協議会が大阪医科薬科大学に依頼して行った研究で、梅ポリフェノールに新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があることを確認したと発表しています。

紀伊民報さんの記事に載っていたみなべ町長のお言葉を読んで、とても共感しましたのでご紹介しますね。

小谷芳正みなべ町長も「梅は日本だけでなく、世界の人々への健康増進に貢献できる作物。今後、この成果を梅産地の財産として多くの皆さまにお伝えしながら有効に活用していきたい」と話した。 -2022年06月01日 紀伊民報道AGARA 「梅干しがコロナの感染抑制 みなべ町が研究委託、東海大発表」より-

まとめ

梅干しは飛鳥時代に漢方薬として伝来し、江戸時代に日本全国に広まったことがわかりました。いずれも梅干しの持つ殺菌力を活かし、ある時は食べ物として、またある時は薬として利用されてきました。

どんなに時代が進化してもこの構図は今も変わっていません。先人の暮らしの知恵がちゃんと受け継がれているのですね。

変わらない基本があることがわかりました。これからも大事にしていきたいです。

 

(参考資料)
・梅の収穫58年連続全国一 和歌山県がシェア67%(2022年12月05日 14時30分 更新) 和歌山 紀南 経済

https://www.agara.co.jp/article/242358
・あなたが食べているのは「梅干し」? それとも「調味梅干し」? 2020/06/06 07:30 ウェザーニュース
https://weathernews.jp/s/topics/202006/030135/
・農林水産省 農産物漬物の日本農林規格
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/22_kikaku_nousan_tukemono_150528.pdf
・文部科学省 食品成分データベース 「梅干し」
https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=18354
・麦茶
https://www.marubishi-inc.co.jp/knowledge/
https://www.euglab.jp/column/nutrition/000510.html
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16055_7
・梅干し
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07022_7
・兵粮丸(ひょうろうがん) 紅梅屋(三重県伊賀市)
https://www.koubaiya.com/?pid=156042467
月向農園 何でも梅学 烏梅(うばい) 
https://minabe.net/gaku/kurashi/ubai.html
・CAMPFIRE 
https://camp-fire.jp/projects/view/526097
・トノハタ 梅の歴史
https://www.tonohata.co.jp/ume/history/
・紀州田辺梅干協同組合 梅干の効能・歴史
https://kishu-tanabe-umeboshikumiai.com/umehistory/
・うちの郷土料理 梅干し
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/umeboshi_wakayama.html
・梅干しの歴史を知ろう|梅のルーツを知るともっと梅干しが好きになる
https://www.kumaheinoume.co.jp/blog/umeblog/36740
・紀伊民報道 AGARA 2022年06月01日「梅干しがコロナの感染抑制 みなべ町が研究委託、東海大発表」
https://www.agara.co.jp/article/202437
・紀州田辺うめ振興協議会 令和4年3月 18 日 プレスリリース「梅ポリフェノールが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して阻害効果を持つことを明らかに」
https://www.tanabe-ume.jp/wpsys/wp-content/uploads/2022/03/press_up_20220318.pdf