皆さま、こんにちは。今年は桜が満開の時期に悪天候が重なり、地域によっては花びらが飛ばされ、お花見できなかった所もあったようですが、それから1ヶ月。
今は近所の藤棚が見頃です。遠くから見ると薄紫ですが、近くで見ると、青紫、ピンク、白などの色があって綺麗です。

当社から見える山並みは、ところどころに新緑が映え、山が笑っています。山が笑う時期になると、毎年つばめがやってきますが、今年も帰ってきたようです。

しらすのシーズンですが・・・
さて、和歌山は梅、みかん、タチウオの他、しらす漁で有名です。毎年この季節になると、和歌山の海沿いの加太・和歌浦・簑島(みのしま)・有田・湯浅・日高などの産地は、しらす丼目当てのお客さんで賑わいます。
しらすは主にイワシ類の稚魚で、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシの3種類があります。しらすは加工によって、生しらす、釜揚げしらす、ちりめん、などがあります。
こちらも和歌山の特産「山椒」を使った、ちりめん山椒も好評です。
しらすはもともと量が少ないですし、値段も割と高いです。

釜揚げしらす ちりめん山椒
我が家もシーズンのしらすを近所のスーパーで買ってきました。作りたてだったのか、今年は塩気が強かったように思います。茶粥と頂いてちょうどよかったです。
先日、車で20分程のところにあるスーパ-へ行き、焼きたてピザを作っているパン屋さんの前を通ったところ、マルゲリータなど普通のピザの他、シーズンの釜揚げしらすを使ったピザがありました。
そのままご飯と食べるのが美味しいしらすですが、ピザやパンのトッピング、和風スパゲッティ、クリームスパゲッティにしても美味しいと思います。
釜揚げしらすは、背中がピンとまっすぐなものより曲がっている方が新鮮だと言われています。
さて、その「しらす」が、今シーズンは燃料の重油不足で、出漁日を4日から2日にする等対応しています。
テレビや新聞によると、近海カツオ一本釣り漁で有名な宮崎の漁協さんでも、遠い漁場までカツオを1週間かけて追いかけるのを短縮しています。
普段カツオの北上にあわせ、沖縄県周辺から宮崎県周辺まで漁場を探すため、1隻あたりの重油料は年間1億円になるそうです。
かつお節の産地で有名な鹿児島の枕崎・指宿では、原料のカツオと燃料の価格高騰で工場を休業するそうです。漁業の現場は厳しい状況です。
ホルムズ海峡封鎖による影響
ご存知のとおり、中東情勢に伴い、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐホルムズ海峡が封鎖され、エネルギー輸入国が影響を受けています。それに伴い私たちの周りにも少しずつ影響が出ています。

先日、弊社の合羽取扱い販売店のお客様から問合せ電話がありました。石油不足でゴム手袋メーカーさんが供給を控えて入手困難になっているが合羽の方は大丈夫か?という内容でした。
漁協さんからも同じような問合せ電話がありました。石油不足で漁の資材が入手できない状況になっているが、合羽の方は大丈夫か?また値上げになるのか?という内容でした。
中東情勢により石油価格が上昇。石油の他、肥料、プラスチックの原料となるナフサ、ヘリウム、アルミニウムなども影響を受けています。
世界の窒素肥料の30%がホルムズ海峡を通って輸出されており、米国では肥料不足でトウモロコシの作付けができないようです。
石油と言えば中東。肥料まで輸入しているとは思わなかったです。
日本をはじめ、世界中が米国からトウモロコシを原料とする家畜の飼料を輸入していることから、飼料不足が懸念され、世界の農業に影響が出ています。それは食糧問題に繋がります。
肥料の成分のひとつである窒素の原料はアンモニアで、アンモニアをつくるには、石油や天然ガスから取りだした水素を、空気中の窒素と高圧で合成するそうです。ここでも石油が使われています。
そして、アンモニアに炭酸ガス(二酸化炭素)を合成すると、窒素系化学肥料の一種「尿素」ができるそうです。
花の肥料を買う時に表示を見ると、窒素〇%、リン〇%、加里〇%と書いてあります。野菜を育てている人は、尿素肥料を肥料の一つとして使っているようです。
テレビや新聞によると、各国の政府や企業は、ホルムズ海峡を通らない国からの輸入に向けて動いたり、電力や資源の使用を制限する等、対応しています。
米国の石油に切替えるところも多く、パナマ運河を通ったり、喜望峰(ケープタウン)を通って輸送しているとのことです。
本来、ホルムズ海峡を通ると片道20日程度のところ、パナマ運河を通ると片道30日程度、喜望峰(ケープタウン)回りだと50日程度かかるそうです。
パナマ運河は大きなタンカーが通れず、小さいタンカーでの輸送はコスト増になっているようです。

中東からの年間原油輸入量
ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、2025年、中東からの年間原油輸入量は1億3974万キロリットルでシェア94%。
国別では、アラブ首長国連邦(UAE) 43.3%、サウジアラビア 39.4%、クウェート 6.2%、カタール 4.2%。中東以外では米国が3.8%となっています。

調べたところ、昭和の1960年代頃は、日本の原油輸入先はイランがトップでした。その後30年、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、イランは主要輸入国でした。
1980年代のイラン・イラク戦争、その後のイランと米国との関係悪化による米国の経済制裁などの影響で、2019年から輸入がストップしています。
中東からの原油は、ホルムズ海峡を通過するタンカーで輸送されており、他の輸送手段がないようです。
合羽と石油の関係
ここで先程のお客様からの問合せの話に戻ります。
当社の水産合羽は主に塩ビ=塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル)の生地裏に、ポリエステルの基布を貼り合わせた生地を使っています。
水産合羽は、塩ビかポリウレタンの生地の裏にポリエステルの基布を貼り合わせたものがほとんどです。


これらの素材を作るのに必要なのが、ナフサ(粗製ガソリン)です。
ゴム手袋などが入手困難になっていることから、お客様が水産合羽の製造・供給はどうなっているのか、確認の問合せでした。
TOTOさんがナフサ不足によりユニットバスの一次製造中止を発表していましたが、
政府の働きもあり受注を再開したそうです。新規受注分については納期は遅れるか未定とのことです。
弊社は材料もある程度確保していますし、現在のところ製造中止の予定はないですが、生地メーカーさん2社は5月以降値上げになります。
包装メーカーさん、運送会社さんからも値上げの案内がありました。
生地メーカーさん次第では、生産の調整や価格改定することになるかもしれないと思っています。
ナフサとは
ナフサは石油から精製される液体です。ホワイトガソリンとも言い、キャンプ用品のランタンの燃料に使用されています。
ナフサからエチレンなどの「石油化学基礎製品」が作られます。「石油化学基礎製品」を分解して「石油化学誘導品」(中間製品)が作られます。
それが、プラスチック、合成繊維、合成ゴム、合成洗剤、塗料などの原料になり、私たちの暮らしの身近な製品になります。
合羽の生地、塩ビ(塩化ビニル)を作るには、塩素とエチレンガスを化学反応させて作られます。そのままですと固い生地ですが、可塑剤を入れることで合羽が柔らかい生地になります。
合羽の生地、ポリウレタンを作るには、ナフサを化学的に分解・加工すると、ポリウレタンの主成分「ポリオール」「イソシアネート」が作られます。
再利用
プラスチック容器の価格が3割~高騰していますが、ナフサ不足は、私たちの暮らしの身近な製品の不足に繋がっています。
お弁当やお寿司の容器はプラスチックがほとんどです。特にお寿司のトレイは使い捨てにするにはもったいような立派なデザインのものが多いように思います。
調べたところ、いろんなデザインがあり、一人前の容器が単価20~50円程度でした。思ったより高かったです。
紀美野町はプラマークのついているものは分別ゴミに、トレイなどは燃えるゴミとして出します。
以前はお土産のお寿司やお弁当と言えば、「折り箱」と言う、薄い木の板(経木)を折り曲げて作られた箱に入っていました。
折り箱の上に包装紙をかけ、紐でしばってありましたが、これらを「折り詰め」や「寿司折り」と言っていました。
折り箱は、木の抗菌作用と調湿作用があり、保存容器として昔から使われてきました。ほんのり木の香りがして、私は好きでした。
容器を使わず提供するのは難しいですが、プラスチックの代わりになるものとしては、紙の容器があります。
外側が木目調で内側が銀の容器で、経木の折り箱風な容器もあります。ただ、紙の容器を作る時にも、石油が必要になってくるのではないかと思います。
1隻ホルムズ海峡を通過
封鎖以来、石油タンカーなど日本の船が42隻、ペルシャ湾で待機中でしたが、4月末現在、日本政府の働きでようやく1隻、出光丸がホルムズ海峡を通過したとのニュースが入ってきました。
日本で使用する1日分の原油を積んでいるとのことです。
和歌山の田舎で合羽の製造をしながら平和に暮らしていますが、行ったことのないホルムズ海峡やケープタウンやパナマ運河での出来事と、私たちの暮らしが繋がっていることを感じています。
