ページトップへ

雨衣ひとすじ久保製作所

ブログ

すじこのおにぎりから見えてきたさけます類の現状

皆さま、こんにちは。桜が咲きました。まだ三分咲きですが、春休みに入って和歌山の桜の名所はお花見客でにぎわっています。

近所の桜の名所は、地元紀美野町の野上八幡宮、お隣海南市の亀池公園。

野上八幡宮

我が社から車で30分以内の所にある桜の名所には、西国三十三所の札所で関西一の桜の早咲きで有名な紀三井寺、御池公園(紀の川市)、和歌山城、徳川家の菩提寺として有名な長保寺、などがあります。長保寺は昨年の写真です。

長保寺

お花見の風習は、吉宗公が将軍時代、上野、隅田川堤(向島)、飛鳥山(王子)、御殿山(品川)などに桜を植え、花見を奨励したのが始まりとされています。

すじこのおにぎり

さて、先日ローソンさんでおにぎりを買おうと棚を見ていたところ、あるおにぎりが目に入りました。「プレミアムおにぎり いくら醬油漬け」308円(税込)。

このところの物価高でおにぎりの値段も上がっている中、1個308円で、しかもいくらのような生ものの高級食材がおにぎりに?!と思いました。

そのことを西日本出身で長年東京エリアに住む友人に話したところ、いくらのおにぎりは知らないが、東北や北海道では鱒のすじこのおにぎりを食べる文化がある、と教えてくれました。

友人が大学生の頃、東北出身の同級生のお弁当が、鱒のすじこのおにぎりだったそうです。

その頃、都内にコンビニがちらほらできはじめてはいましたが、皆がコンビニでおにぎりを買う時代ではなかったです。同級生のおにぎりも、お家でお母さんが作ったものだったそうです。

海苔で包んだソフトボールのような大きなおにぎりの真ん中に、いくらより粒の小さい赤みがかったオレンジ色の鱒のすじこが入ったおにぎりで、鱒のすじこを見たことがなかった友人は、いくらのような生ものをおにぎりの具にしていいのか?と思ったそうです。

同級生にすすめられて鱒のすじこのおにぎりを食べたところ、味がしっかりついて(塩気か醤油味かはわからず)美味しかったと言っていました。海苔は焼き海苔だったそうです。

それからスーパーで鱒のすじこを見ると時々買って食べたそうですが、どのスーパーにも鱒のすじこは普通に置いてあったそうです。値段もいくらと違って手頃だったそうです。

かなり塩気があるものの、いくらと同じであまり日持ちがしなかったと言っていました。

当時、西日本から関東に移り住んで間もない友人のカルチャーショックは、

・いくらに似た鱒のすじこのような生もののおにぎりがあった
・おにぎりの海苔が「味付け海苔」ではなく「焼き海苔」だった

私は鮭のおにぎりは時々買いますが、昔からおにぎりの海苔は味付け海苔です。いくらは滅多に食べないですし、私の住む地域では鮭や鱒のすじこを食べる文化がなかったです。友人のカルチャーショックはわかります。

鱒のすじこのようなおにぎりを食べる地域はあるのか、コンビニのおにぎりを調べて見ました。

すじこのおにぎり(コンビニ)

コンビニ各社のホームページを調べたところ、地域限定ですじこのおにぎりを販売していました。いずれも「鱒」のすじこではなく、「鮭」のすじこでした。

やはり、すじこのおにぎりは、北海道・東北・北陸・北関東など、東日本エリア限定のローカルな食べ物のようです。

セブンイレブンさん

商品名値段販売地域
手巻きおにぎり すじこ醬油漬け 258円(税込み278.64円) 新潟、北陸
こだわりおむすび 塩漬け筋子240円(税込み259.20円) 青森、岩手、秋田、福島
大きなおむすび すじこ醬油漬け(鮭まぶし飯) 420円(税込み453.6円)新潟限定
こだわりおむすび 熟成紅すじこ醬油漬け240円(税込み259.20円) 宮城、山形
こだわりおむすび すじこ醬油漬け 紫峰使用285円(税込み307.80円) 茨城限定
直巻きおむすび すじこ(醬油麹仕立て) 230円(税込み248.40円) 北海道
直巻きしょうゆおむすび すじこ(醬油麹仕立て) 300円(税込み324円) 北海道 函館 道南エリア限定

ファミリーマートさん

商品名値段販売地域
手巻 熟成すじこ230円(税込み248円)北海道限定
おむすび2ヶ入り(鮭・すじこ)(鮭すじこ) 350円(税込み378円)北海道限定
直巻き 二晩熟成すじこ (紅鮭すじこ)239円(税込み258円)東北限定
おむすび2個セット(鮭・すじこ)      
(銀鮭フレーク、鮭すじこ) 
389円(税込み420円)東北限定

ローソンさん  

商品名値段販売地域
手巻きおにぎり すじこ243円(税込み)東北限定
炙りサーモンといくら醬油漬けおにぎり
(はらこ飯風)
322円(税込み)沖縄以外の全国

コンビニ各社さんのおにぎり商品ページを見ていると「北関東」と地域表示された商品がありました。西日本出身の私にはピンとこない言葉ですが、友人に尋ねたところ、北関東とは栃木県・群馬県・茨城県のことでした。

関東といっても東京ベイエリアと内陸エリアの「北関東」では、気候も文化も違うんだろうなと思いました。

すじこ(筋子)とは?

コンビニのおにぎりはいずれもサケのすじこでしたが、私の友人の話では東北出身の人が食べていたのはマスのすじこ。すじこの定義を調べてみました。

すじこ(筋子)とは、サケやマスの卵巣(腹子)の加工品。卵巣膜ごと塩や醬油等の調味液に漬け込んだもの。

いくらは、サケの卵巣(腹子)から膜を外してほぐし、塩や醬油等の調味液に漬け込んだもの。

私は、お寿司のいくらは醬油漬けしたものだと思っていましたが、友人は味漬けしてない加工前のものだと思っていた、とのことです。

考えたら生ものですから、保存するためには加工が必要ですね。

鮭のすじこ(ほぐすとイクラ)は、オレンジ色で粒が大きく皮が厚め。
鱒のすじこは、赤みがかったオレンジ色で粒が小さく皮が薄めです。

すじこの定義としては、「サケ・マスの腹子」と、まとめられていましたが、コンビニのおにぎりにはサケのすじこが使われていました。

次はサケとマスの違いについて調べてみました。

サケとマスの違い

日本では海でとれるものをサケ、淡水でとれるものをマスとして扱われていますが、川で育ったり、海と川の両方で活動する種もあるため、分けるのが難しいとされています。

魚種別漁獲量などの統計の上では、大きなカテゴリーで「さけ・ます類」、小さなカテゴリーで「さけ類」・「ます類」となっていました。

「さけ」とは、サケ科に属する、サケ(しろざけ)、ベニザケ(ヒメマス)、ギンザケ、マスノスケ、サクラマス(ヤマメ)、カラフトマス、ニジマス、の総称とされています。

日本のサケ科魚類の分類体系(国立研究開発法人水産研究・教育機構)

日本でとれる種類は、サケ(しろざけ)、カラフトマス、サクラマスで、サケ(しろざけ)が最も多いそうです。北海道では毎年10億尾が放流され、3%が沿岸で漁獲か河川で捕獲されるそうです。

一般に日本で「サケ」とは、サケ科サケ属の「サケ」、標準和名「シロザケ」のことのようですが、シロザケには、シャケ、アキザケ(秋鮭)、アキアジ(秋味)、オオメマス、トキシラズ(時鮭)、ナツザケ(夏鮭)、ケイジ(鮭児)など、季節よってもいろんな呼び名があるようです。

このように、サケ科サケ属として〇〇サケという名前と、標準和名の〇〇マスという名前があり、さらにアキザケやトラウトサーモンなど、食品業界における一般名称もあることから、さけ・ますの扱いはなかなかやっかいです。

一般名称

標準和名

鮭(サケ)、シャケ、秋鮭(アキザケ)、秋味(アキアジ)、オオメマス、時鮭(トキシラズ)、夏鮭(ナツザケ)、鮭児(ケイジ)

シロザケ

トラウトサーモン

ニジマス

アトランティックサーモン

タイセイヨウサケ

紅鮭(ベニザケ)

ヒメマス

銀鮭(ギンザケ)

ギンザケ

キングサーモン

マスノスケ

ヤマメ

サクラマス

日本で最も養殖されている種はニジマス・ギンザケ

日本ではサケ(しろざけ)には寄生虫がいることから生食しなかったそうですが、ノルウェーが養殖で生食できるサーモンを開発し、いつからか、生のさけ・ます類を食べることができるようになりました。

友人によると、確かに江戸前寿司にサケは入っていなかった、江戸前寿司と言えば、漬けまぐろ、えび、いか、たこ、煮穴子、コハダ、トリガイ等だったように思う、とのことです。

和歌山では、お祝いごとや法事のお土産に寿司折りを1合頂くことがあります。中身は、いわゆる上方寿司、シメ鯖に白板昆布を載せたバッテラの押し寿司、伊達巻・海苔巻きなどの太巻きに、にぎり寿司(えび、いか、まぐろ等)が入った寿司折りですが、サケは入ってないです。

トラウトサーモン=ニジマス

さて、生サケと言えば、スーパーでよく見かけるのがトラウトサーモン。
トラウトサーモンが「ニジマス」とは、知らない人も多いと思います。

川で育ったのがニジマス、ニジマスを海で養殖したのがトラウトサーモン。
ニジマスには改良型やかけ合わせ等様々な種類があるようです。

トラウトは和訳では鱒(マス)、サーモンは和訳では鮭(サケ)。
トラウトサーモンの意は「鱒鮭(マスサケ)」です。

銀鮭=ギンザケ

一般名称は銀鮭(ギンザケ)、標準和名もギンザケ。珍しく標準和名と一般名称が同じ種類です。

銀鮭(ギンザケ)は、ロシアから米国にかけて北の方にいる種で、日本にはいない種です。流通している銀鮭は輸入の養殖ものか、国産の場合ほとんどが宮城県産の養殖ものです。

紅鮭(ベニザケ)=ヒメマス

さけますは、川に残る陸風(りくふう)型と、海に降りる航海型がいるそうです。海と川を回遊していた魚が、川や湖等の流水域に溜まり一生を過ごすようになることです。

紅鮭(ベニザケ)の標準和名は「ヒメマス」。トラウトサーモン同様、紅鮭(ベニザケ)が「ヒメマス」とは知らない人も多いと思います。

水産庁によると、ベニザケ(ヒメマス)はアメリカや千島列島にいる種で、おにぎりに入っている紅鮭は、おそらくアラスカあたりにいる鮭だということです。

また、池に住んでいるベニザケ(ヒメマス)は一生湖で過ごすそうで、北海道の阿寒湖のヒメマスが有名です。一般の紅鮭(ベニザケ)は択捉島あたりにいるそうです。

キングサーモン=マスノスケ

マスノスケは標準和名「キングサーモン」として知られています。ロシアや北の方にいて日本にたまに来る種で、滅多に獲れないそうです。

サクラマス=ヤマメ

ますのすし等で有名な「サクラマス」。標準和名は「ヤマメ」。渓流の女王と言われるヤマメです。天然が獲れず、今はほとんどが養殖。

養殖は成長に3年かかり、もともと数が少ない上に最近は量が減っているとのことでした。

「ニジマス」を使った「サケ弁当」

食品表示の分野で、さけますの扱いはいろいろと議論されているようです。

ニジマスを海で養殖した「サーモントラウト」は、サケとして定着しているため、「サケ弁当」や「サケ茶漬け」として表示しても問題ないとされています。

お刺身の場合は「魚介類の名称のガイドライン」に基づいて、種ごとの名称(標準和名か一般名称)で記載するのが基本となっています。

サケのお刺身の場合、標準和名の「ニジマス」か、一般名称の「トラウトサーモン」等の表示が必要になるとのことです。

スーパーで買ったお刺身は大体「トラウトサーモン」か「アトランティックサーモン」で、標準和名の「ニジマス」や「タイセイヨウサケ」と書かれた商品は見たことがないです。

一般名称でよいとなっているため、いろんな一般名称があると思います。

加工品の場合はガイドラインが違い、例えば原材料に「サケ」「カラフトマス」をつかった場合は「さけ」と表示してもよいそうです。

前述のいくら醬油漬けのおにぎりの場合、ローソンさんのホームページにはアトランティックサーモンを使った商品との記載がありましたが、裏面の原材料は「鮭フレーク」となっていました。

また、飲食店のメニューに「サーモントラウト」を「サーモン」と表示するのは違反になるそうです。

生魚、加工品、飲食店、それぞれガイドラインが違っていろんな見方や意見があるようです。「魚介類の名称のガイドライン」は本来農林水産省(水産省)の管轄でしたが、消費者庁に変わっています。

少し調べただけで頭がこんがらがって疲れました(笑)

標準和名の他、様々な一般名称で表示されていることからわかるように、ガイドラインなどはあるものの、それぞれの分野の見方があり、役所が違い、はっきりと定義付けするには、さけます類は難しいジャンルのようです。

(参考)
・国立研究開発法人水産研究・教育機構
https://www.fra.go.jp/shigen/salmon/salmonidae.html
・魚食普及推進センター
https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/4931
・農林水産省
・水産庁


-