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年越しは、そばよし、サバよし!

皆さまこんにちは。12月は水産合羽製造の繁忙期で追い込み作業が続いておりましたが、ようやく年内作業を無事終えることができました。これでやっと年越し・お正月を迎えることができます。皆さまのご協力に感謝いたします。

年越しサバ

年越しと言えばおそば。和歌山ではここ紀美野町や有田川町など、地域によっては年越しそばの他に鯖を食べて新年を迎える「年越しサバ」の風習があります。


地域によって鯖を丸ごと焼いた「焼き鯖」と「塩鯖」があり、ここ紀美野町では焼いたお頭付き鯖を一尾丸ごと食べるのが一般的です。各家庭で焼いたり、最近では炭火で2~3時間かけて焼き上げる等お店で焼いたものも売っています。

「なぜ年越しにサバなの?」と東京の友人に聞かれて答えに困ってしまいました。調べてみたところ、山間地域では新鮮なお魚が手に入らず日持ちする塩サバ等を焼く風習ができたのではないかと、過去の和歌山経済新聞の記事に載っていました。

我が家ではサバはもちろんですが、カツオを好んで食べています。大きなサバやカツオは食べきれず年越して食べることもあります。

和歌山とサバ

実は鯖は和歌山と縁のあるお魚です。和歌山の郷土料理として有名な「柿の葉寿司」も鯖がメインでその他しいたけやエビの入った押し寿司です。江戸時代に生まれたと言われています。昔は秋祭りなどの行事で食べられていたそうですが、今ではバリエーションもいろいろで鯖だけではなく鯛やサーモンや熊野牛などの具材が使われているものもあるようです。

画像:農林水産省Webサイト うちの郷土料理 和歌山県 柿の葉寿司(かきのはずし)

そしてこちらも有名な「なれずし」。特有の発酵臭があり好き嫌いの分かれるお寿司ですよね。改めて調べてみると和歌山の「なれずし」は日本三大なれずしの一つといわれているそうで、約800年以上の歴史があるそうです。約800年前というと鎌倉時代。

1ヵ月以上塩漬けした鯖を1日がかりで塩抜きして、古米の上に鯖をのせて握ったものをアセの葉等で巻きつけて紐でくくって桶にびっしりと詰め、重石を載せて5日ほど漬け込むとご飯の発酵した特有の匂いがして美味しくなるようです

画像:農林水産省Webサイト うちの郷土料理 なれずし 和歌山県

和歌山のなれずしには「早熟れ(はやなれ)」「本熟れ(ほんなれ)」の2種類がありますが、「はやなれ」は酢を使ってあまり発酵させずに作るためクセが少なくて食べやすく美味しいですよ。

その他、鯖飯(さばめし)があります。

昔、みかんを収穫し、船に積みこむ作業が終わると、あつあつの鯖飯(さばめし)とお酒で、みかんが高値で取り引きされることを祈ったと言われます。桃山町奥安楽川(あらかわ)地区では、祭りや春・秋・冬に各家庭で大勢のお客さんを招く時に今もよく作ります。この地域は奥深く、昔は交通の便が悪かったのですが、紀の川を船で行き来ができました。そのため熊野灘でとれたさばを日持ちするように塩さばにしたものがよく使われました。脂ののりきった塩さばと葉ねぎが混ざり合い、食べると力がつく気分になりました。 -全国学校栄養士協議会 伝えたい秋の⾏事⾷ 和歌山県 鯖飯(さばめし)-

ここ紀美野町のように海から少し離れた土地では、昔は足の早い鯖を手に入れるだけでも輸送上大変だったことでしょう。お塩のおかげですね。

また前回のブログで取り上げた山椒や今回の柿の葉等、先人の知恵と工夫で抗菌・抗酸化作用のある植物を使ってお魚の保存性を高めてくれたおかげで食文化が今に続いていることに心から感謝です。

皆さま、本年も大変お世話になりました。

皆さまがご家族やご友人と年越しそばや年越しサバ、なれずし等それぞれの郷土料理や家庭料理で食卓を囲んで、穏やかな年越し・お正月を迎えられることを心よりお祈りいたしております。


参考:
・農林水産省 うちの郷土料理 和歌山県 柿の葉寿司(かきのはずし)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kakinoha_zushi_wakayama.html
・農林水産省 うちの郷土料理 和歌山県(なれずし)
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nare_zushi_wakayama.html
・全国学校栄養士協議会 和歌山県 伝えたい⾏事⾷ 11月〈秋祭り〉鯖飯(さばめし)
https://www.zengakuei.or.jp/gyoji/wakayama_3.html
和歌山県ふるさとアーカイブ 【年越しに食べる物】
https://wave.pref.wakayama.lg.jp/bunka-archive/syokubunka/index.html
和歌山経済新聞 和歌山・有田川町で恒例「年越しサバ」販売 丸ごと食べて新年祝う 
https://wakayama.keizai.biz/headline/1265/
・この味と香りがクセになる!ふるさとの味「なれずし」 一般社団法人 湯浅町観光協会 「海と山の小さなまちの湯浅さんぽ」
https://www.yuasa-kankokyokai.com/article/4906/
※使用画像:雪と南天の赤い実 無料写真素材「花ざかりの森」https://forest17.com/